実質実効為替レートは「輸出困難度指数」と呼ぶべき(補論)

グラフの青い線は、名目実効為替レートと呼ばれるものです。米ドルと円の関係のみならず、他の貿易相手国の通貨との関係も総合的に考えよう、ということで、各国の為替レートとの関係を貿易相手国としての重要性に応じて「加重平均」したものです。

グラフの赤い線は、実質実効為替レートと呼ばれるものです。各国の通貨との関係を物価上昇率を考慮して輸出の難しさを求めた上で、それを各国との貿易相手国としての重要性に応じて「加重平均」したものです。

実質というのは物価上昇率を勘案したものである事を意味する言葉で、実効というのは貿易相手国とのウエイトに応じて加重平均している事を意味する言葉なのですが、為替レートという部分がいただけません。

これは為替レートではなく、「輸出困難度指数」とでも呼ぶべきものなのです。指数ですから「1ドルは◯◯円」といった表示ではなく、「◯◯年を100とすると今年は95」といった表示になります。

1ドル◯◯円という表示だと、数字が大きくなると輸出が容易になりますが、実質実効為替レートは数字が大きくなると輸出が困難になるので注意が必要です。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。

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塚崎 公義