為替レートの基本的な考え方は、インフレ分だけ変化すること
そもそも為替レートは、各国の物価水準を等しくするように決まるのが基本です。米国で1ドルのものが日本で100円ならば、為替レートは1ドル100円であるのが基本です。
もしも1ドルが1円だったとすれば、日本人が円をドルに替えて米国に買い物をしに行くでしょう。彼らのドル買い注文が銀行に殺到することでドルの値段が上がっていき、1ドルが100円になった所で止まるはずです。
反対に、1ドルが1000円だったら、米国人がドルを売って日本に買い物に来るでしょうから、彼らのドル売りでドルが値下がりし、やはり100円になるはずです。
もちろん、貿易には輸送等々のコストがかかりますし、自動車は日本の方が安いけれども牛肉は米国の方が安い、といった品目別の違いもありますから、ぴったり同じ値段になるわけではありません。ただ大雑把に言えば同じ値段になるはずだ、とは言えそうです。
そうなると、インフレ率の違いだけ為替レートは変化していくのが自然だという事になります。日本の物価が一定で米国の物価が2倍になれば、ドルの値段が半分になることで日米の物価水準が等しくなるからです。
その観点からすると、過去25年間の為替レートが概ね横ばいで推移していた事は驚きですが、「貿易収支がゼロだからドルの売り買いが均衡して為替レートが動かない」と考えれば納得が行くかも知れませんね。