潜在成長率は長期不況でも低下する

これは日本に特有の事情なのかも知れませんが、長期不況でも潜在成長率は低下します。好況期に労働力不足となれば、飲食店は争って自動食器洗い機を導入するでしょうから、飲食店の労働生産性は向上し、経済全体の潜在成長率も高くなるでしょう。

しかし、不況期には失業者が大勢いて、皿洗いのアルバイトが安く雇えるので、自動食器洗い機を導入する飲食店はありません。そうなると、飲食店の労働生産性は向上せず、経済全体としての潜在成長率も高まりません。

バブル崩壊後の長期低迷期、日本は長期にわたり不況が続いていたので、労働生産性の向上があまり無く、低い潜在成長率が続いていました。もっとも、需要が伸びない時に潜在成長率が高いと失業者が増えてしまうので、むしろ潜在成長率が低くて良かった、と考えるべきなのかも知れませんが。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。

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塚崎 公義