潜在成長率は少子高齢化でも低下する

少子高齢化も、潜在成長率を押し下げます。理由の一つは簡単で、大勢が定年退職する一方で少人数が新たに就職することによって、現役世代の労働者が減ってくるからです。そうなると、労働生産性が突然向上しはじめない限り、潜在成長率は低下するわけです。

理由がもう一つあります。若者は物を欲しがりますが、高齢者は介護や医療のサービスを必要とします。自動車産業や洋服産業は労働生産性の向上が可能ですが、医療や介護は労働生産性の向上が難しいので、経済の中心が医療や介護に移っていくと、経済全体としての労働生産性が上がりにくくなってしまうのです。

経済が成長すると栄養状態が良くなり、薬も買えるようになるので、高齢化は進むでしょう。経済が豊かになると少子化が進む、というのも世界の人口増加率を見ていると何となく納得ですね。つまり、経済が成長すると少子高齢化が進み、潜在成長率が低下する力が働く、というわけですね。