大谷翔平選手は昨シーズン投打にフル回転の活躍を見せ、二刀流選手としての地位をMLBでも確立しました。しかし、昨シーズンが始まる前は二刀流の成功に懐疑的な声も目立ちました。

NPB時代に高く評価されていたピッチャーとしての能力を発揮できていなかったからです。大谷選手のNPB・MLBでの投手成績を振り返りつつ、入団当初の苦戦の理由を考えていきます。

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大谷翔平・プロ入団後の投手としてのキャリア

ファイターズとエンゼルスでの投手成績を、[表1]・[表2]にまとめました。

[表1]大谷翔平・ファイターズ時代の投手成績

※NPB(日本野球機構)「個人年度別成績」を参考にLIMO編集部作成

[表2]大谷翔平・エンゼルスでの投手成績

※MLB STATS “Shohei Ohtani”をもとにLIMO編集部作成

最も大きな違いはイニング数です。

ファイターズ時代は最終年こそケガで離脱しましたが、ルーキーとして3勝を挙げた後、2年目~4年目は安定して20登板以上、150イニング前後投げています。

一方、MLBでは2021シーズンの130イニングが、エンゼルス入団後後初めて100イニング以上投げたシーズンになりました。

2018年はシーズン途中に右肘の靭帯を複数箇所損傷し、オフにトミー・ジョン手術を受けます。

2019年は打者に専念してリハビリにつとめ、2020シーズンで投手復帰も再び右肘を負傷します。新型コロナウイルスの影響で、満足な投げ込みや実戦形式の練習を積めなかった点もマイナスの要因になりました。

勝敗・防御率・奪三振数はローテーションを守り、長いイニングを投げないと数字が伸びません。NPB時代はピッチャーとしての能力を高く発揮していましたが、エンゼルス入団後は思うように成績が伸ばせていませんでした。

何が違ったのでしょうか?今回は3つの視点から違いを掘り下げていきます。