ロサンゼルス・エンゼルス大谷翔平選手は、2021シーズン、打者・投手両方でリーグトップクラスの成績を残し、満票でアメリカン・リーグMVPを獲得しました。
しかし、シーズン前は二刀流としての成功に疑問を持つ声も多く聞かれました。
大谷選手にどのような変化が起きていたのか、これまでの投打でのシーズン成績を振り返りつつ、変化を探っていきます(※編集部注)。
【参考資料】大谷翔平はココがすごい「リアル二刀流」強さのポイント4選!
【大谷翔平・メジャー成績】打者編
まずは、エンゼルス入団後の打撃成績をまとめました。
2021シーズンは、ほぼ全ての成績でキャリアハイの成績を残し、見事満票でMVPを獲得。ここでは本塁打とOPSに焦点を当てながら、昨シーズン飛躍した理由を考えていきます。
*本塁打
昨シーズンは終盤までタイトル争いを演じ、日本人最多となる46本塁打をマークしました。
大谷選手最大の特徴は反対方向へ力強い打球を飛ばせる点です。通常、身体の近くまでボールを引き付けると手とボールの距離が上手く取れなくなり、力が伝わりません。
全身のパワーを伝えて飛距離を出すためにはステップした足の前でボールを捉える必要があり、結果として引っ張った打球が多くなります。
しかし、大谷選手はボールをぎりぎりまで引き付けられ、力強いスイングによってセンターから左中間へ長打を量産できます。
秘訣は強靭な下半身です。
オフシーズンのウエイトトレーニングで下半身を徹底的に鍛え上げ、ブレが少ないバッティングフォームを確立しました。
軸足に体重が乗り、インパクトの時にロスなくボールにパワーを伝えられます。2020シーズンに見られた腰が引けた体勢での凡打は、大幅に減りました。
そして、もう一つのポイントはバットの軌道をアッパースイングにしたことです。
ボールの下にバットを入れてスピンを掛けることで、打球に角度が付きやすくなりました。一方で、圧倒的なスイングスピードを出すためには背中、お尻、太ももの筋肉強化が必要です。
大谷選手はウエイトトレーニングで強靭な身体を作り上げ、強烈なスイングスピードを誇るアッパースイングを手に入れました。
*OPS(出塁率+長打率)
OPSは「出塁率+長打率」を合算した数字で、打者の総合的能力を測る指標の一つ。
元々大谷選手は優れた長打力を誇る選手です。全方向に力強い打球を飛ばせる能力に加え、優れた走塁技術によってシングルヒットを二塁打に変えられます。
昨シーズン大きくOPSを伸ばせた要因は、選球眼の向上です。
106試合に出て33個に留まっていた19年シーズンと比べると、約3倍近く四球が増えています。ボールゾーンの等級を無理して打ちに行かず我慢して四球を選べたことで、出塁率が大幅に高まりました。
今シーズンは昨年の活躍もあり、前半戦から厳しいコースを突いた攻めが予想されます。終盤戦に見せた自分を見失うこと無く、「打てるボールだけを確実に捉える」姿勢が重要です。