65歳以上女性の単身世帯の1カ月の支出は「13万9417円」
これまで年金について見てきましたが、老後の生活費についても気になるところですよね。
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2020年(令和2年)」によると、65歳以上の女性の単身世帯の1カ月の消費支出は「13万9417円」、65歳以上の無職の二人世帯では「22万4390円」となっています。
その内訳を見てみると「食費」や「保健医療」、「交通・通信」といった項目では、65歳以上の女性の単身世帯より、65歳以上の無職の2人世帯の金額は2倍ほどの金額になっています。
一方で、「住居費」「光熱・水道費」「被服・履物費」「その他消費支出」については、単身世帯と二人以上世帯との差は、それほど大きくありません。住居費については1万円台のため、持ち家が想定されるでしょう。
おひとり様のさまの支出のデータを参考に、厚生年金と国民年金それぞれ年間の収支がどのくらいになるのかを見てみましょう。
- 厚生年金の女性平均月額10万3808円に対して、消費支出13万9417円で、不足額は3万5609円。
- 国民年金の女性平均月額5万4112円に対して、消費支出13万9417円で、不足額8万5305円。
国民年金の場合、生活費の不足額が年間で約102万円になりますね。このような傾向を見ながら、老後のおひとりさまの生活費を考えるといいでしょう。
年金を増やす方法も視野に入れよう
今のシニア世代とは違い、年々働く女性が増えてきているとはいえ、非正規雇用で働く女性が大半です。国民年金は満額で約78万円を生涯にわたって受給できますが、長い老後を生活していくには全く足りないでしょう。また、年金額は今後下がる可能性も考えられます。
社会保険の適用が拡大しており、パートやアルバイトで働く短期労働者でも、厚生年金に加入できる環境が整いつつあります。手取りが少なくなるというデメリットはありますが、年金を増やすという選択肢もあります。ご家庭の状況によりさまざまですが、一つの方法として検討してみてもいいのではないでしょうか。
参考資料
- 内閣府「令和3年版高齢社会白書(全体版)」
- 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
- 総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)ー単身世帯ー2020年(令和2年)」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
- 総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)ー二人以上世帯ー2020年(令和2年)」
- 日本年金機構「遺族年金(受給要件・対象者・年金額)」
中野 令子