実際に計算してみよう
次のモデルケースを例にして、社会保険料および税金を計算してみたいと思います。
<モデルケース>
東京都八王子市在住
夫(68歳):公的年金収入200万円
妻(66歳):公的年金収入100万円
この他に所得はない
*国民健康保険料
<東京都八王子市(令和3年度)の保険料>
所得割額:(前年の総所得金額等※-基礎控除43万円)×8.4%
均等割額:加入人数×47,500円
※前年の総所得金額等=公的年金収入-公的年金等控除額
参考:年間保険税の決め方(令和3年度(2021年度))|八王子市公式ホームページ
夫の場合、200万円-110万円=90万円が前年の総所得金額となり、そこから基礎控除を引いた47万円に8.4%をかけると、所得割は3万9480円になります。
妻の場合は、年金収入が110万円以下なので、所得割額は0となります。
均等割額は2×4万7500円=9万5000円となりますが、均等割額には軽減措置があり、このケースでは5割軽減に当てはまるため、4万7500円となります。
参考:軽減措置|八王子市公式ホームページ
所得割と均等割を足した世帯の合計金額は8万6980円(年額)となりました。
*介護保険料
介護保険料は市区町村ごとに定めた所得段階に応じて保険料が決められています。
所得段階は住民税の課税状況と年金収入によって判断し、東京都八王子市(令和3年度)の場合、16段階に分かれています。
参考:令和3年度(2021年度)から令和5年度(2023年度)の介護保険料(所得段階)|八王子市公式ホームページ
今回のモデルケースの場合、夫も妻も住民税は非課税(次項参照)となります。
夫は第3段階に当てはまるため4万8300円、妻は第2段階に当てはまるため3万4500円となり、世帯の合計金額は8万2800円(年額)となりました。
社会保険料の金額が分かったので、ここで改めて、所得税と住民税を計算してみましょう。
*所得税
(公的年金収入-公的年金等控除額-各種所得控除-社会保険料控除)×5.105%
夫:200万円-110万円-48万円(基礎控除)-38万円(配偶者控除)-8万6980円(国民健康保険料)-4万8300円(介護保険料)=-9万5280円
社会保険料控除によってマイナスとなるため、所得税は非課税となります。
妻:公的年金収入が110万円以下であるため、所得税は非課税となります。
*住民税
夫の年金収入は非課税となる基準額155万円以上ですが、扶養配偶者がいるため、以下の式に当てはめて計算します。
前年中の合計所得金額が下記金額以下の人は所得割・均等割ともに非課税となります。
・同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族)の合計人数+31万円以下
35万円×2+31万円=101万円
前年中の合計所得金額は90万円なので、101万円以下となり、所得割・均等割ともに非課税となりました。
妻の年金収入はそもそも155万円以下なので、住民税は非課税となります。
今回のモデルケースでは、夫婦ともに、所得税・住民税は非課税となりました。一方、社会保険料は、国民健康保険料8万6980円と介護保険料8万2800円を足して16万9780円(世帯合計)となりました。約17万円が、社会保険料として年金から引かれるということです。