師走も近づき、1年を振り返ることが多いこの時期。食料品や電気代、ガソリン代などの値上げも相次ぎ、家計の見直しを考える方もいるのではないでしょうか。
特に50代の方は、老後資金を貯めるラストスパートとも言える年代です。住宅ローンの完済が見え、子どもが独立して教育費も終わりホッとするのも束の間、老後をリアルに感じ始める年代ですよね。
今は60代以降でも働き続ける方が多いですが、「いつまで元気に働き続けられるか」は多くの方の悩みでしょう。まだ老後まで時間のある50代のうちに、老後に備えておきたいものです。
今回は50代の貯蓄や60代の支出などをながめながら、50代で節約のためにやめるといいことをご紹介します。
50代の貯蓄は? 老後は今の暮らしを続けられるか
総務省統計局が2021年5月18日に公表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2020年(令和2年)平均結果―(二人以上の世帯)」から、まずは50代の貯蓄・負債事情を確認しましょう。
50代の二人以上世帯の貯蓄額は1703万円。負債現在高は699万円で、そのうち住宅・土地のための負債が620万円のため、およそ600万円ほどの住宅ローンが残っているご家庭が多いと考えられます。
2019年には老後に年金以外に2000万円が必要という「老後2000万円問題」が話題になりました。貯金の目標を2000万円とされているご家庭も多いかもしれませんね。
老後の収入の柱となる年金額については、把握できているでしょうか。厚生労働省年金局の「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業年報」から、今のシニア世代の1カ月の平均年金額を確認しましょう。
国民年金の平均月額:5万5946円
男性:5万8866円・女性:5万3699円
厚生年金保険(第1号)平均月額:14万4268円
男性:16万4770円・女性:10万3159円
たとえば「厚生年金の夫と国民年金の妻」であれば、年金額は1カ月21万8469円。不足分を貯蓄などで補うことになります。
では出費の目安として、総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)二人以上の世帯―2020年(令和2年)」から、二人以上世帯の消費支出を50代と60代で比べましょう。
50~60代の1カ月の消費支出
- 50~54歳:33万7847円
- 55~59歳:32万1695円
- 60~64歳:29万3170円
- 65~70歳:27万4798円
年齢ごとの変化をみると、最も多いのは50代前半。まだお子さんが大学生などのご家庭もあるでしょう。60代に入ると支出額が減少傾向に。家族の人数も減り、年金生活に入って消費を抑えているのでしょう。それでも60代後半で約27万円。先ほどの年金額と比べると、月約6万円が赤字です。
生活水準は人それぞれです。ただ、長年続けてきた生活水準をいきなり変えるのは難しいもの。できれば50代のうちから、徐々に老後に向けて生活を見直したいですね。では、具体的に何をやめるといいのでしょうか。