18歳以下の子どもに10万円相当の給付を行う支援策で、所得制限が960万円となり、世帯合算ではなく夫婦どちらかの年収になると報じられました。この所得制限は児童手当を参考にしたもの。2021年11月18日には公明党の北側中央幹事会長が記者会見にて、児童手当の世帯合算に対して否定的な見解を述べたと報じられています。
児童手当が創設されたのは1972年(昭和47年)。当時は父親のみが働く世帯が多かったですが、今は共働き世帯が専業主婦世帯のおよそ2倍です。
児童手当の所得制限は世帯年収が良いのでしょうか、それとも所得制限自体が必要なのでしょうか。共働き世帯数や児童手当について現状を振り返ります。
共働き世帯数が上回ったのは1990年代
内閣府の「平成29年10月25日財政制度等審議会資料(抜粋)『子ども・子育て支援』」によると、児童手当制度の創設は1972年(昭和47年)。当時は父親が家計を支えている世帯が多かったこと等を踏まえ、世帯全体ではなく、世帯の中で所得が最も多い者(主たる生計者)の所得で判定されることになりました。
同資料では、現代は共働き世帯が専業主婦世帯のほぼ2倍であり、世帯合算で判断する仕組みに変更すべきではないかとされています。実はこの時点で、世帯合算にすべきではという案は出ているのですね。
総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」によると、1980年は専業主婦世帯が1114万世帯・共働き世帯が614万世帯でした。しかし1990年代には入れ替わり、2020年は専業主婦世帯が571万世帯・共働き世帯が1240万世帯。ここ20年ほどは共働き世帯が主流なのです。
厚生労働省の「国民生活基礎調査(2019年)」をみると、児童のいる世帯の母で仕事をしているのはおよそ7割。雇用形態もあわせて割合を確認しましょう。
児童のいる世帯における母の仕事の状況(2019年)
仕事あり:72.4%
- 正規の職員・従業員:26.2%
- 非正規の職員・従業員:37.8%
- その他:8.5%
仕事なし:27.6%
正規職員・従業員は26.2%、非正規職員・従業員は37.8%。仕事をしていない3割弱の中には、子どもがまだ小さかったり、夫の多忙や実家が遠方でワンオペ育児だったり、子どもの人数が多かったり、持病を抱えていたりなど、それぞれ事情がある家庭もあるでしょう。