児童手当に所得制限は必要か?
今回の10万円相当給付をもとに、児童手当の所得制限についてはさまざまな意見が出ました。世帯年収にすべきという声もあれば、そもそも児童手当に所得制限は必要なのかという疑問もあるでしょう。
財務省の「扶養控除の見直しについて(22年度改正)」によれば、「所得控除から手当へ」などの観点から、子ども手当(平成24年から児童手当へ変更)の創設とあいまって、0~15歳の年少扶養親族への扶養控除を廃止したとのことです。
扶養控除は、控除対象扶養親族の中でも年齢などにより区分が分けられています。たとえば「一般の控除対象扶養親族」は16歳以上、「特定扶養親族」は19歳以上23歳未満、老人扶養親族は70歳以上(※いずれもその年12月31日現在の年齢)。0~15歳は扶養控除の対象ではありません。こういった面からみても、改めて児童手当の大切さが分かります。
今回の10万円相当給付の所得制限がなければ、児童手当が世帯合算ではない点についてここまで議論されなかったでしょう。時代に合わせて世帯合算が良いのか、そもそも所得制限は必要なのか、今後もその議論の動向を見つめたいと思います。
参考資料
- 内閣府「平成29年10月25日財政制度等審議会資料(抜粋)『子ども・子育て支援』」
- 独立行政法人労働政策研究・研修機構「図12 専業主婦世帯と共働き世帯」
- 厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」
- 内閣府「児童手当制度のご案内」
- 財務省「扶養控除の見直しについて(22年度改正)」
- 国税庁「No.1180 扶養控除」
宮野 茉莉子