70代に向けて老後資金を用意するためには
老後資金については、2019年に年金以外に2000万円が必要と話題となりました。この試算のもととなった、金融審議会の「『市場ワーキング・グループ』(第21回)厚生労働省提出資料」をみてみましょう。
夫婦2人の老後の生活では、ひと月の収入が約21万円、支出が約26万円。毎月約5万5000円が赤字になり、老後30年で約2000万円不足するという試算ですね。先程の年金の受給額を見ても、収入部分のリアルさが分かります。
一方で、支出面では、以下のような内訳となっています。
支出の内訳
- 食料:6万4444円
- 家具・家事用品:9405円
- 住居:1万3656円
- 光熱・水道:1万9267円
- 交通・通信:2万7576円
- 保健医療:1万5512円
- 教養娯楽:2万5077円など
住居費が1万円台の計算なので、賃貸で家賃のかかる方はこれ以上必要になります。また、この資産には介護費用が含まれていません。介護費用まで考えると、実際には2000万円以上かかるでしょう。
老後資金は大きな金額となりますが、時間はみな平等です。金額が大きい分、早いから準備を始めるのがコツ。できれば30代のうちからはじめられるといいでしょう。
老後資金の準備としては、毎月の赤字部分を私的年金などで準備し、他に貯蓄を用意しておきたいですね。今は運用益が非課税になる、iDeco(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAといった制度もあります。預金はもちろん、毎月コツコツと長期間に渡り積み立てて運用することで、リスクを抑えながら資産を増やしていくことも可能です。
運用を取り入れるとなると、リスクもありますし、自分に合った金融商品を選ぶ必要があります。まずは理解しやすい動画を見たり、オンラインセミナーなどに参加したりして、資産運用について情報収集をするといいでしょう。老後資金を着実に準備するためにも、早めにスタートしてみてくださいね。
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参考資料
- 厚生労働省年金局 「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 金融広報中央委員会 「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」
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金融審議会「『市場ワーキング・グループ』(第21回)厚生労働省提出資料」
宮野 茉莉子