しかし、仮に3年で退去するケースはどうなのでしょうか?
上記の表によれば、入居者が故意・過失でクロスを傷つけてしまって、全面を張り替える必要がある場合であっても、入居者の負担割合は50%ということになります。このガイドラインは極めて公平な内容と言えるでしょう。
したがって、賃貸契約時の契約書には、このガイドラインをベースにした特約に加え、例えばクロスを張り替える際の単価などもあらかじめ明記しておけば、修繕の際にトラブルになることもないでしょう。トラブルがなくなれば、見積もりが高い安いで揉めることもありませんので、その間の機会損失もなくなります。
ただし、入居者は退去時の原状回復を全くしなくて良いかというと、そうではありません。一般的なマナーとして、退去時にクリーニングをして部屋を明け渡す必要はあるでしょうし、最近は退去時のクリーニング費用について、契約時に特約で取り決めるケースも多いようです。
このような特約は民法で禁止されているわけではありませんので、入居者に不利なものでなければ、契約自体は有効となります。部屋を借りる際はこのあたりをしっかり確認しておくようにしましょう。
これからの時代は、国交省のガイドラインをベースに管理業務をしてくれる良心的な管理会社と、不動産投資家は付き合うべきだと思います。ぜひこの機会に管理会社の管理内容を再チェックしてみてください。
以上、退去時によくあるトラブルと対処法について解説しました。
また、契約時と更新時によくあるトラブルと対処法、悪徳業者を撃退する方法については、前回の記事で解説しています。今回の記事と次回の記事の内容を完璧に理解していただければ、いらぬトラブルに巻き込まれることはなくなると思います。ぜひ参考にしてください。
参考資料
- 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)(国土交通省)