いきなりですが、男性の厚生年金の平均受給額は16万4770円です。それに対し、女性の平均受給額は10万3159円。
女性の働き方も多様化してきている昨今。
例えば、従来女性の少なかった保安職(自衛官,警察官等,消防員)の女性割合についても、昭和60年と平成22年を比較すると、自衛官は2.1%から6.0%、警察官は3.1%から7.5%、消防員は0.5%から1.8%へと増加しているというデータもあり、多様な分野で女性が活躍していることがわかります。(※内閣府「男女共同参画白書 平成28年版」)
そんなデータを単純にふまえると、男性と同じような立場で仕事をし、収入面でも男性と肩を並べる女性も増えてきているのではないでしょうか。
ちなみに「いまの給与収入」は「老後の収入」となる年金受給額に大きく影響します。厚生年金に加入するサラリーマンの場合、現役時代の給与収入が多ければ、老後の年金収入も上がるということです。
冒頭にお伝えした、厚生年金の平均受給額ですが、男性と同程度の厚生年金額を受給できる女性はどれくらいいるのか気になるところですね。
私は以前、生命保険会社に勤務しファイナンシャルプランナーとして多くのみなさんのお金にまつわる相談を受けてきました。その経験もふまえ、今のシニア世代のデータを参考に、女性の年金受給額事情を紐解きながら、老後へのお金の備え方についてお話したいと思います。
年金制度のしくみ
まずは、日本の年金制度のしくみについておさらいしていきましょう。
国民年金(基礎年金)は、日本国内に住むすべての20歳から60歳の人を加入対象としています。
年金保険料は定額制(保険料額=基本額1万7000円×保険料改定率)をとっており、20歳から60歳の40年間すべて保険料を納付すれば「満額」(78万900円×改定率)が受け取れます。納付期間が足りない場合はその割合を満額から差し引く計算方式をとっています。
一方、厚生年金は国民年金に上乗せする形で報酬比例の年金を支給する制度です。
そのため、勤務先にそもそも厚生年金の制度があるのか、どれだけの期間勤務しているか、毎月の報酬月額はいくらか、などが受給額に大きく響くしくみなのです。
上記のことから、日本の年金制度は「2階建て構造」などと呼ばれています。