2012年 ロンドンオリンピック

他のケースとは異なり、2012年のオリンピック開催後、イギリスの不動産価格はみるみる上昇していきました。ただし、これはオリンピックの影響というよりも、リーマンショック後の反動による影響が大きいと見られます。

また、中国の不動産デベロッパーの進出により、イギリスの不動産分野に大量の投資マネーが流入してきたことも大きな理由として挙げられるでしょう。

2016年 リオデジャネイロオリンピック

ブラジルではオリンピック以前からGDPはマイナス成長で、不動産価格も下降トレンドになっていました。また、2016年のオリンピック開催後も不動産価格の上昇は見られませんでした。

以上、1992年以降の各国オリンピックと不動産価格の推移を見てきました。

このようにオリンピックと不動産価格との関係性を見ていくと、オリンピック後の不動産価格は、上昇している国と下落している国があることがわかります。

一方で、GDPに関してはある程度の関連性が見られます。オリンピック前は設備投資やインフラ整備によってGDPは上昇しますが、オリンピック後はその反動でむしろ低下する傾向にあります。

ただし、アトランタやロンドンではオリンピック後もGDPや不動産価格が伸びています。もちろんこれは、ITバブルの影響やリーマンショックの反動によるところが大きいです。

以上を踏まえて結論を言うと、オリンピックと不動産価格には明確な相関関係はないということになります。

不動産価格は世界経済の動向や自国の政策によって大きく左右されるため、オリンピックによる影響はそこまで大きくないということなのです。

つまり、日本の不動産価格についても「オリンピックが終わったから上がる!」などとは断言できないということになるでしょう。

不動産価格が決定される3つの要因

では、不動産価格というのはどのようにして決定されるのでしょうか?

大きく分けて、不動産価格は「政策の動向」と「世界経済の動向」の2つの要因に影響を受けています。さらに、不動産価格が上昇する個別要因としては、次の3つが挙げられます。

  1. GDPなどの経済成長が見込まれるかどうか。
  2. 人口増加が見込めるかどうか。
  3. インフラ整備の余地があるかどうか。

経済成長によってインフレ傾向になっていくと、インフレヘッジとして不動産にマネーが向かいますし、人口が増加すれば住宅需要が増え、これも不動産価格を押し上げる要因となります。

そして、人口の増加と共に道路や公共交通機関などの街づくり的なインフラ整備がされるので、さらに土地の価値は高まるわけです。

つまり、この3つの要因がセットになると、不動産価格は必ず上昇していくということになります。