国税庁が2021年9月29日に公表した「令和2年分民間給与実態統計調査」によると、平均給与は年間433万円。前年比で0.8%減少しました。先の見えないコロナ禍においては収入や雇用への不安もあり、支出をおさえて貯蓄に励む方も少なくないでしょう。

収入が下がれば、投資への意欲も下がると思われるかもしれません。しかし2021年6月15日に公表された金融庁の「NISA 口座の利用状況調査(2020年12月末時点)」によれば、つみたてNISA口座数は前年より約1.6倍増の302万2422口座、つみたてNISA口座の買付額は約2.6倍増の7614億2837万円です。

これまで投資には「一発当てて大儲け」といったイメージがありましたが、つみたてNISAは分散して長期間でコツコツと投資をすることで資産形成を目指すものです。特に20代など若い世代でつみたてNISAの口座数が増えており、将来の不安もあり早くから堅実な方法で投資をしたいという若者が増えているよう。中には「自分も早くから始めたほうがいいのかな?」と悩まれている方もいるでしょう。

今回はつみたてNISAのキホンと口座数の変化などをながめながら、40歳から老後資金を作る方法をみていきます。

つみたてNISAのキホン。どれくらいの人が利用してる?

2018年1月からスタートしたつみたてNISAは、金融庁が定めた投資信託の中から自分で商品を選び、毎月一定額を積み立てるものです。通常は配当金や分配金、譲渡による利益に20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAなら毎年40万円まで、最長20年間非課税で運用できます(非課税運用額は最大総額800万円)。

利益が出ても約2割を税金で引かれるとなると、「2割引かれて本当に利益が出せるの?」と投資をためらう方もいるでしょう。しかし運用益が非課税であれば、初心者の方でも利益へのハードルが下がります。少額から無理なく投資をはじめられるのも、嬉しいポイントですね。

一方で、投資なので元本保証はありません。売りたいときに相場が大きく下がって、売りたくても売れないなんて可能性もあります。ただ、長期間毎月コツコツと積み立てていくことで、ある程度リスクを抑えることができます。

2021年10月8日に公表された金融庁の「NISA・ジュニア NISA 口座の利用状況調査 (2021年6月末時点) 」によると、2021年3月末時点でのNISA(一般NISAとつみたてNISA)口座数は、次の通りです(一般NISAとは上場株式、株式投資信託、ETFなどの利益が年間120万円まで非課税になる制度。非課税枠は最大600万円、期間は最長5年間、2023年まで)。

NISA(一般・つみたて)口座数(2021年6月末時点)

NISA(一般・つみたて): 1654万8428口座

  • 一般NISA:1237万2998口座
  • つみたてNISA:417万5430口座 

中でも、年別につみたてNISA口座数の推移を見ていきみましょう。

つみたてNISA口座数の推移

  • 2018年12月末時点:103万6603口座
  • 2019年12月末時点:189万230口座 
  • 2020年12月末時点 :302万2422 口座

2019年と2020年を比べると、つみたてNISA口座は約1.6倍増加しています。つみたてNISA口座の買付額も見てみましょう。

 つみたてNISA口座の買付額 

  • 2018年12月末時点:931億502万円
  • 2019年12月末時点:2975億5299万円
  • 2020年12月末時点:7614億2837万円

2018年と2019年では約3.2倍、2019年と2020年では約2.6倍増加しています。

コロナ禍においても、つみたてNISAを始める方が増えているとわかります。