子育ての世界でも同じことが起きています。入試を突破しエリートコースを歩む子を育てる親は「勝ち組」であり、受験に失敗したり勉強が苦手な子を持つ親は「負け組」と揶揄されるなど、スポーツのようにハッキリした勝ち負けを意識する傾向が広がっていったのです。

勝ち組を目的にする親は、我が子が「誰からもうらやましがられる学歴や経歴を手に入れる」「大企業に就職したり士業や医者になって安定した生活基盤を持つ」「そうした立場にふさわしい相手と結婚する」ような人生を送れるよう、手を尽くします。

教育熱が異常に高く、ある一定の偏差値以上の学校しか認めないというのも勝ち組に執着する親の典型と言えるかもしれません。

学歴や年収による意識の違い

一方、親が勝ち組にこだわるのにも理由があります。幸せはお金では買えないと言われますが、現実はそう甘くはありません。

大阪経済大学が発行する「大阪経大論集 第64巻第3号(2013年9月)」に掲載された「階層意識としての勝ち組・負け組準拠集団に関するインターネット調査結果の分析(2)※」では、既婚または未婚かというライフステージや、学歴、年収による意識の違いが詳しく記載されています。

調査結果では、自らを勝ち組と意識する割合が高いのは「大卒で既婚そして子どもがいる高所得世帯」であり、社会で広く認識されている勝ち組のイメージと合致しました。やはり安定した生活を送るにはお金は必要ですし、所得の高い職種に就くには一般的に学歴がある方が有利です。