「公務員」といえば安定した職業で、「親が子どもになって欲しい職業のナンバー1」というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。
このコロナ禍では公務員の仕事の負担は大きく、大変そうなイメージもありますが、一般企業と違い会社が倒産するリスクはありません。給与も安定しているところに魅力に感じ、公務員を志望する学生も多いですよね。
しかし、実際に公務員の給与実態は恵まれたものなのでしょうか。本日は国家公務員の退職金について、会社員との差を詳しく見ていきたいと思います。
公務員の退職金はいくら?
では最初に、内閣官房公表「退職手当の支給状況(令和元年度退職者)」を元に、国家公務員の退職金を見ていきましょう。
常勤職員
- 定年:2090万6000円
- 応募認定:2588万1000円
- 自己都合:316万1000円
- その他:201万6000円
平均支給額:1082万2000円
※「応募認定」は45歳以上(定年60歳の場合)の職員を対象にした早期退職募集制度のことで、自己都合退職よりも割増された退職金が支給されます。
※「その他」には任期性自衛官等の任期終了(常勤職員)や死亡等による退職が含まれています。
うち行政職棒給(一)適用者(一般行政事務を行う職員に適用)
- 定年:2140万8000円
- 応募認定:2278万円
- 自己都合:362万7000円
- その他:265万8000円
平均支給額:1548万円
国家公務員は、退職事由が定年、もしくは応募認定の場合は退職金が2000万円を超えると分かりました。
会社員の退職金はいくら?
ここでは、厚生労働省の「退職給付(一時金・年金)」を元に会社員の退職金を見ていきましょう。
大学・大学院卒(管理・事務・技術職)
- 定年:1983万円
- 会社都合:2156万円
- 自己都合:1519万円
- 早期優遇:2326万円
高校卒(管理・事務・技術職)
- 定年:1618万円
- 会社都合:1969万円
- 自己都合:1079万円
- 早期優遇:2094万円
会社員は、退職事由が早期優遇の場合の退職金は2000万円を超えますが、定年退職の場合の退職金は2000万円を切っています。大学・大学院卒であれば2000万円に近いですが、高校卒の場合は1618万円ですね。
また、2021年8月31日発表の総務省統計局「労働力調査」によると、このコロナ禍において17ヶ月連続で完全失業者数が増加しているというデータもあります。
会社員は公務員と違い、景気の影響によっては会社が倒産したり、やむを得ず転職するなど必ずしも定年まで勤められるわけではないですよね。そもそも企業により退職金の額が異なったり、退職金がない場合もあります。
一方で、公務員は景気に左右されることなく定年まで勤め上げられる方も多いでしょう。そういった違いも見られます。
公務員の老後は安泰?
ここまで、国家公務員と会社員の退職金事情について詳しく見てきました。では、実際に定年まで勤めて2000万円以上の退職金を受け取れる可能性の高い公務員は、老後も安泰なのでしょうか。
「老後資金はいくら必要?」と聞くと、「2000万円くらい」と思い浮かべる方は多いですよね。2019年に金融庁審議会「市場ワーキング・グループ」の報告した老後2000万円問題から、「老後資金は2000万円貯めなければ」と考える方も実際多いです。
そもそも、この「老後2000万円問題」とは、夫婦2人で年金だけでは老後の生活費が2000万円足りなくなるという内容です。
実はこの2000万円という数字の中には、介護費用が全く含まれていません。昔は家に両親・祖父母がいるという方も多かったと思いますが、現代は核家族化が進んでいて「老後は子どもに面倒を見てもらう」というより、「老人ホームに入る」という選択をする方も増えてきております。
LIFULL(介護)の「老人ホームの費用相場」(2021年8月31日時点)を基に試算すると、1人につき約1000~2000万円の費用がかかります。
サービス付き高齢者向け住宅
- 入居時費用:19.7万円
- 月額費用(入居時費用あり):16.5万円
- 平均介護期間:54.5ヶ月(4年7ヶ月)※生命保険文化センター調べ
合計:約900万円
有料老人ホーム費用
- 入居時費用:540万円
- 月額費用(入居時費用あり):23万円
- 平均介護期間:54.5ヶ月(4年7ヶ月)※生命保険文化センター調べ
合計:約1800万円
仮に、夫婦二人の場合は約2000~4000万円が必要となります。もし退職金で2000万円受け取れたとしても、生活費で消えていくため介護費用が足りないでしょう。
そう考えると、公務員も2000万円以上の退職金を受け取れるから安泰ではなく、退職金・年金に頼らない自助努力で作り上げる老後資金の準備を始めたほうが良さそうです。
老後資金の準備を始めよう
今回は、国家公務員と会社員の退職金を比べてみました。実態としては、国家公務員の退職金の方が会社員より多そうですが、介護費用も含めた老後資金にはまだまだ足りません。
また、公務員の退職金は民間と大きくかけ離れないよう5年に1度見直しがされています。今後は民間と均衡を図るため、公務員の退職金も下がる可能性は十分にあります。公務員だから老後は安泰と考えるのではなく、自分自身で老後資金の準備を始めましょう。
今は、政府がつみたてNISAやiDeco(個人型確定拠出年金)といった制度を用意してくれています。また、無料動画やオンラインセミナーなども増え、資産運用について昔よりも学びやすくなっています。
もし、資産運用を始めてみたいけどよく分からないから不安という方は、無料のオンラインセミナーなどに参加してみるとよいかもしれませんね。資産運用を始める良いきっかけになるかもしれませんよ。
参考資料
- 内閣官房「退職手当の支給状況(令和元年度退職者)」
- 厚生労働省「退職給付(一時金・年金)」
- 総務省統計局「労働力調査」(2021年8月31日)
- 生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」
- LIFULL 「老人ホーム費用」
鶴田 綾
