IT業界も構造が変化していく
IT業界の構造も大きく変わっていきます。その大きな流れの一つがITの内製化でしょう。これはユーザー企業が外部ベンターにシステム製作を発注するのではなく、システム製作を社内で行うことです。
内製化が進む背景として、さまざまな理由があげられていますが、一言でいえば“DXが進めば必然的にそうなる"ということでしょう。デジタルが便利なビジネスのツールではなく、経営領域と直結し、もっと言えばビジネスの主戦場がデジタル上に移行すれば、システム開発も自ずと内製化が進むということです。
これはアメリカなどIT先進諸国の事例をみても明らかです。このIT内製化とも関連する日本のユーザー企業とベンダー企業の関係については、今年の夏に発表された『DXレポート2.1』でも言及されています。
以下、引用します。
「両者(ユーザー企業とベンダー企業)はデジタル時代において必要な能力を獲得できず、デジタル競争を勝ち抜いていくことが困難な『低位安定』の関係に固定されてしまっている。」
極端な言い方をすれば、現状認識として日本におけるユーザー企業とベンダー企業が“ダメダメな関係"であるということです。
日本のIT業界は、非常に混迷した(やりがいがあるとも言える?)業界だと思います。そして、そこで10年も経たないうちに45万人ほどの人材が不足する・・・ちょっと、気の遠くなるような話のような気もします。
参考資料
- IT人材需給に関する調査(経済産業省、2019年3月)
- DXレポート ~ ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~(経済産業省、2018年9月7日)
- DXレポート2.1(DXレポート2追補版) (経済産業省、2021年8月31日)
- 一般職業紹介状況(令和2年12月分及び令和2年分)について(厚生労働省)
- 一般職業紹介状況(長期時系列表 e-Stat)~令和3年7月(厚生労働省)
榎本 洋