また、地方と都会では教育に対する考え方が異なることも多いもの。筆者自身、かつて大学進学を考えていることが田舎の親戚に知られたとき、「女の子に学なんていらないだろう」と遠回しに言われた経験があります。

地方でも市街地に住んでいればそうした意識は薄いものの、やはり今でも中学受験が盛んな大都市圏と比べれば子どもの教育への温度差が残っているところはあるでしょう。

親は自分の経験を子に投影したくなるが

「大学」というゴールは同じでも、そこに到達するまでの道筋はさまざま。そのため、夫婦のどちらかが子ども時代を地方で伸び伸び過したが、もう一方は都市部の中学受験経験者という場合、教育に対する考え方に違いが生じることもめずらしくありません。

親というのは、つい自分が辿った道と子どもを重ねてしまうことがあります。「自分が本格的に勉強し始めたのは中学2、3年生。それでも知名度のある大学に合格したのだから、その頃からで間に合う」と思っていても、それを今の子どもに当てはめるのは少々危険です。

もちろん、例外的な天才肌の子もいるでしょう。しかし、難関大学や医学部への合格者を多数輩出しているのは都市部の中高一貫高出身者が多く、中学受験をしている子の方が大学進学時に有利な傾向があるのは明らかです。

ただ、私立学校の多い大都市圏だけではなく、地方でも教育熱心な家庭の熱量は決して低いものではありません。

2000年代に地方でも次々と公立中高一貫校が誕生しました。これにより小学生から塾通いをする子が増加し、地方でも「つるかめ算」といった受験算数を盛り込んだカリキュラムの塾は少なくありません。もはや中学受験がごく一部の家庭に限られていた時代ではないのです。