短期では、経済成長率が景気と連動
経済成長率が高いと、長期では人々の暮らしが豊かになっていきますが、短期では失業が減ります。去年より多くの物が生産されるわけですから、去年より多くの労働者が雇われるはずで、その分だけ失業者が減るはずだからです。
雇われて給料を受け取った元失業者が消費を増やせば、景気がさらによくなって、企業はさらに増産して、そのために別の失業者も雇うといったことが起きるわけですね。
反対に、経済成長率が低いと労働者を雇う企業が減るので、失業者が増えてしまいます。不況です。
したがって、景気予想屋は来年の景気を予想する時に「来年の経済成長率は何%だと思うか」という話をします。「すごく景気が良い」「少し景気が悪い」などと言うよりも、数字の方が慣れた人にはイメージが湧きやすいからです。
もっとも、慣れない人は経済成長率の数字を聞いても景気が良いのか悪いのかイメージしにくいかもしれませんね。その場合には、景気予想屋の発言を聞いて言葉から景気をイメージするしかないでしょうが。
ひとつ注意しておきたいのは、景気の方向と水準を分けて考えるということです。景気が回復を始めたばかりの時には、経済成長率が高くて失業が減って利益が改善しているとしても、水準的には失業者が「超多い」から「多い」に減り、企業収益も赤字が縮小しただけという場合もあるからです。
したがって、正確には経済成長率が高い時には、「景気が良い」と言うべきではなく、「景気が改善しつつある」または「景気の方向が上を向いている」と言うべきなのですね。