経済成長率は、長期では国が豊かになっていく様子を、短期では景気の良し悪しを判断する材料だ、と筆者(塚崎公義)は考えています。
経済成長率は実質GDPの増加率
経済成長率という言葉は良く聞きますが、実質GDPの増加率を指すのが普通です。実質GDPというのは「国内で生産された付加価値を実質ベースで見たもの」なのですが、わかりやすく言えば国内で生産された物(財およびサービス、以下同様)の数量のことで、その増加率が経済成長率だということになります。
つまり、経済成長率が高いということは、去年より多くの物が生産されるようになったということですね。様々な物の生産量の増加率を加重平均して計算するわけです。
わかりすく言えば、自動車の生産数量が1%増えて、鉛筆の生産数量が1%減った場合には、当然ですが自動車の方が重要なので、経済成長率はゼロではなく1%弱ということになるわけですね。
長期的に成長率が高ければ国が豊かになっていく
経済成長率が高いということは、前年より多くの物が生産されるということなので、長期的に見ると毎年人々の暮らしが豊かになっていくということになります。多くの物が生産されれば多くの物が消費されるでしょうから、消費生活が豊かになるわけですね。
もちろん、理論的には例外があり得ます。王様が富を独占していて、生産された物はすべて輸出されて金銀財宝となって王様の金庫に入ってしまうような国では、庶民には全く経済成長の恩恵が及ばないといったこともあり得るからです。しかし、普通の国では庶民の生活水準も上がっていくと考えて良いでしょう。
日本の高度成長期には、毎年平均10%近い経済成長が続いたため、人々の暮らしは飛躍的に豊かになりました。生産量が増えた分だけ人々の給料が増えて消費量が増えたので、作った物が売れ残らなかったわけですね。