景気と成長率を考える際の基本は潜在成長率
経済成長率が高い時は景気が上向き、低い時は景気が下向きと上に記しましたが、高いか低いかを判断する基準が必要ですね。それが潜在成長率と言われるものです。これは、失業率を変化させないような成長率といった意味だと思ってください。
経済成長率がゼロだと不景気だと言われます。昨年と同じ量の物が生産され、消費されているので不満はないはずなのですが、そうではないのですね。その主な理由は技術が進歩するからです。
技術進歩というのは発明発見のことではなく、国内で使われている技術の進歩のことです。たとえば飲食店が自動食器洗い機を買うと、労働者一人当たりのサービス生産量が増えます。
その分だけ多くの客が来ないと少ない従業員数で店が経営できてしまうので、人減らしで失業者が増えてしまうわけです。飲食店の売上高が昨年と同じだと失業が増えてしまうので、不況になるわけですね。
潜在成長率というのは、失業者が増えも減りもしない心地よい成長率なので、成長率を潜在成長率に一致させるために政府・日銀が景気調節をするのが基本です。
もっとも、不況で失業者が大勢いる時には、潜在成長率よりも高い成長率を達成して失業者を減らす必要があるので、いつでも潜在成長率が望ましいというわけではありません。不況期と好況期を平均して潜在成長率、というのが好ましいと言えるでしょう。