公務員は退職金があれば、老後は大丈夫か

それでは2000万円の退職金を受け取っていれば老後資金は十分でしょうか。2019年の金融庁金融審議会「市場ワーキング・グループ」に端を発した老後2000万円問題をもとに解説していきます。

この内容を端的に言うと、「年金収入20万9198円から支出26万3718円を引いた月々の不足額が30年積み重なると、約2000万円不足する」ということでした。

実は、この支出約26万円には2つの落とし穴があります。

住居費が1万3658円と仮定されている

賃貸で家賃を払う必要がある方や、住宅ローンの支払が継続している方はさらにその費用が不足してしまいます。家賃は居住地等により変わってきますが、アットホーム株式会社によると、東京23区では家賃平均(30㎡未満)9万678円となります。住居費で(9万678円-1万3658円)×12ヶ月×30年=約2772万円が別途必要となります。

介護費用が含まれていない

生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」によると、介護期間平均は4年7ヶ月で介護費用は月平均7.8万円となり一人あたり429万円かかる計算となります。夫婦2人とも介護状態になった場合は、その倍の約1000万円がかかります。

老々介護という言葉もありますが、それも難しい場合、老人ホームという選択肢も検討することになるでしょう。そうすると、さらにお金がかかってしまいます。

この2つの落とし穴を考えると、国家公務員の方も退職金さえあれば安泰とは言えませんよね。退職金や年金に頼らず、「自分で老後資金をつくっていく」という考え方が必要と言えそうです。