バブルとその崩壊も景気循環の一因

以上のほか、バブルとその崩壊も景気の方向を変えます。もっとも、バブルが景気を回復させる可能性は大きくなさそうです。景気の底で人々が悲観的な時にはバブルは生じにくいからです。

一方でバブルの崩壊は、景気の絶頂期に何の前触れもなく株価や不動産価格が暴落して景気を急速に悪化させるので、株価予想屋にとってはもちろん、景気予想屋にとっても恐ろしいものです。まあ、投資家の感じる恐怖と比べればかわいいものでしょうが(笑)。

バブルというのは珍しい現象だと考えている人も多いでしょうが、実はそうでもありません。日本で平成バブルが崩壊して10年後に米国でITバブルが崩壊し、その数年後に米国で住宅バブル(リーマン・ショックの原因)が崩壊したわけですから、バブルというのは比較的頻繁に生じるものなのです。

もしかすると、今の株価高騰も、振り返ってみたらバブルだったということになるかもしれませんよ。そうだとすれば、景気の底で金融緩和バブルが発生して景気を回復させたという稀な例なのかもしれませんね。まあ、バブルか否かはその時にはわからないものですから、今がバブルか否か本稿はコメントを控えておきますが。

バブル以外の撹乱要因として、新型コロナのような事態も起こり得ます。あまり考えたくないことですが、大地震も万が一起きれば景気に甚大な影響を与えるでしょう。まあ、そのあたりは景気予想屋が予想できないリスクなので、起きないことを祈るだけですが。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義