景気は自分では方向を変えない

在庫循環等の影響が無視できるとすると、景気は自分では方向を変えません。景気が回復してくると、企業の売上が増えるので増産します。そのために企業が失業者を雇うので、雇われた元失業者は給料を受け取って消費をします。それによって企業の売り上げがさらに増え、さらに増産するといった好循環が働くからです。

もちろん、反対に景気悪化の時には売れないから作らない、作らないから雇わない、雇われないから給料がもらえない、給料がもらえないから買えない、買わないから売れないといった悪循環が生じるわけですね。

企業が増産すると設備が不足するので設備投資が行われます。それによって鉄やセメントや設備機械等の需要が増加するわけです。銀行も、景気が拡大している時には企業が黒字ですから設備投資資金を喜んで貸してくれるでしょう。

基本は財政金融政策による景気の方向転換

景気は自分では方向を変えないということは、景気が下を向いている時は景気が無限に悪化していくということになります。それは困るので、政府・日銀が財政金融政策で景気を良くしようと頑張るわけです。

政府は公共投資や減税で需要を増やそうとします。日本では減税より公共投資が使われることが多いようですが、米国では減税の方が多いようです。両者は一長一短ですから、好き嫌いということもあるのでしょう。

日銀は、金融を緩和して景気を回復させようとします。通常であれば、金利を下げることで「金利が下がったから、借金をして設備投資をしたり住宅を建てたりする企業や個人が増えるだろう」と期待するわけですね。