その4 就業や生活に制限が必要な状態が続いたら「障害年金の申請」も

先ほど、その2で扱った「傷病手当金」の支給は最長1年6カ月です。

その後も体調が回復せず、離職したり、仕事のペースを減らすために転職したり、というケースもあるでしょう。以前のような就労ができなくなり、収入が激減するケースも多く見られます。

そうした場合、現役世代でも公的年金を頼る、という選択肢もあります。仕事や日常生活に大きな制限が必要となった場合に受け取れる「障害年金」です。

※障害年金の受給には、年金の納付状況などの諸条件を満たしている必要があります。

「障害基礎年金」と「障害厚生年金」

障害年金には、「障害基礎年金」「障害厚生年金」があります。どちらを受給するかは「初診時に、どちらの年金に加入していたか」で決まります。

国民年金に加入していた場合

「障害基礎年金」・・・障害の原因となった病気やケガで初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合に受給します。いずれも18歳未満の子どもがいる場合の加算があります。

  • 障害基礎年金1級…満額の基礎年金(※)の1.25倍
  • 障害基礎年金2級…満額の基礎年金と同額

※2021年度の満額の基礎年金は78万900円です。

◆厚生年金に加入していた場合◆

「障害厚生年金」…障害の原因となった病気やケガで初めて医師の診察を受けたときに、厚生年金に加入していた場合に、障害基礎年金に上乗せして受給できます。

  • 障害厚生年金1級…(報酬比例の年金額) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(22万4700円)〕※
  • 障害厚生年金2級…(報酬比例の年金額) + 〔配偶者の加給年金額(22万4700円)〕※
  • 障害厚生年金3級(※※)…(報酬比例の年金額) 最低保障額 58万5700円

「障害手当金(一時金)」…障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったとき支給される。

※配偶者の加給年金:生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算されます。
※※障害厚生年金3級:障害の状態が2級に該当しない軽い程度の障害のときに支給されます。

あなたと家族のこころが辛いときに、ぜひ知っておきたいこと

今回ご紹介した支援制度は、会社の人事・労務担当者から教えてもらえるものとは限りません。

心が辛いときは、起き上がって文字を見るのも億劫になるときもあるでしょう。本人自身がこうした支援制度に関する情報収集を進めていくことは非常に骨が折れる作業となるかもしれません。ご家族や身近な人のサポートがたいせつです。

参考資料

LIMO編集部