ラーメンチェーン「幸楽苑」を運営する幸楽苑ホールディングスは、8月13日、モバイルオーダーを同日から全店で対応すると発表(一部のフランチャイズ店を除く)。事前にオーダーして指定時間に店に行くと待たずにテイクアウトできるもので、従来は全体の6割弱だったところから対応店舗が大幅拡大となっています。
その幸楽苑、知名度はあるものの、エリアによっては街で目にする機会が少ないかもしれません。そこで今回は、幸楽苑の特色や提供するメニューの概要、近年の業績を紹介していきたいと思います。
会津若松がルーツの幸楽苑
まず、上場をしている代表的な餃子・ラーメンチェーンの中から、餃子の王将(王将フードサービス)、日高屋(ハイデイ日高)と幸楽苑の直営店の数を、各社の決算資料で見てみます。
すると、餃子の王将529店舗(2021年6月末時点)、幸楽苑407店舗(同、6月末時点)、日高屋398店舗(同、5月末時点)と、幸楽苑は餃子の王将には及ばないものの日高屋をやや上回っています。
ただ、たとえば東京都では、首都圏中心に店舗展開する日高屋が193店舗あるのに対し、幸楽苑は27店舗です(2021年8月27日現在、以下同)。幸楽苑はロードサイド店を中心に展開してきたこともあり、都心では駅前近くの立地でサラリーマンの多い日高屋の方が圧倒的に目立ちます。
実は、幸楽苑の創業の地は福島県会津若松市。同社の社史によると、1954年(昭和29年)に創業したときの店は6坪で従業員が3人。当時のメニューは、うどん(20円)、天ぷらうどん(25円)、らーめん(35円)だったといいます。
その福島県には現在57店舗、宮城県には45店舗というように、東北地方そして関東中心に出店しているため、西日本にお住まいの方には馴染みが薄いかもしれません。
幸楽苑のメニューはというと、ラーメンは「中華そば」などの醤油ラーメン6種類、味噌ラーメン9種類、塩ラーメン9種類、つけ麺4種類がラインアップされています。なかでも「プレミアム」の名がつく商品はどんぶりからはみ出るくらいに長いチャーシューが特徴です。
また、餃子とライスの定食や各種ランチ、朝定食などの定食メニューが豊富で、カレーと餃子を組み合わせた定食もあります。前述のように、8月13日から全店でモバイルオーダーに対応していますが、グランドメニューは全商品がテイクアウト可能とされています(ランチおよび一部メニューを除く)。
幸楽苑ホールディングス、近年の業績
次に、幸楽苑を運営する幸楽苑ホールディングスの近年の業績を見ていきます。同社は主事業であるラーメン事業(幸楽苑)の他、業績に占める割合はわずかながらも「いきなり!ステーキ」や「からやま」などのその他外食事業も展開しています。
以下は2017年3月期から2021年3月期まで5年間の業績推移ですが、2019年3月期をピークにその後は下降に転じた形です。
売上高:378億円⇒386億円⇒413億円⇒382億円⇒266億円
営業利益:1.5億円⇒▲0.7億円⇒16.4億円⇒6.6億円⇒▲17.3億円
当期純利益:1.5億円⇒▲32.3億円⇒10.1億円⇒▲6.8億円⇒▲8.4億円
店舗数(直営とFCの合計):546⇒538⇒533⇒482⇒454
2019年3月期までは、メニューの強化や近距離に集中的に出店するドミナント戦略によって増収基調でした。しかし、2020年3月期は利益重視のために店舗数を絞り込んだことが、結果的に業績にネガティブな影響を与えたようです。
2021年3月期はコロナの影響を受け大幅な減収減益となり、自己資本比率も2020年3月期から2021年3月期末にかけて25.6%から18.4%へと大幅に減少してしまいました。
今期2022年3月期・第1四半期の決算は、売上高62.6億円(前年同期は56.3億円)、営業利益▲4.9億円(同▲10.0億円)、最終利益▲0.5億円(同▲7.4億円)。
厳しい状況が続いていますが、前年同期比で赤字幅は目に見えて減少しています。同社では、デリバリーやテイクアウト強化のほか、徹底的な固定費削減が収益改善につながったとしています。
8月26日には、劣後ローンの借り入れで日本政策投資銀行から10億円を調達すると発表。コロナ禍で打撃を受けた期間の運転資金とするほか、デリバリーやテイクアウトのさらなる強化や、デジタル技術活用のための設備投資に充てる計画です。
株価推移と今後の見通し
幸楽苑ホールディングスの株価も2019年5月の上場来高値3455円をピークに低迷が続いています。2020年3月にはコロナショックで1100円近くまで下落。直近の2021年8月下旬は1500円前後で推移しています。
今後については、2026年3月期までの中期経営計画で幸楽苑の店舗数を400店舗に抑えつつ新業態店を100店舗展開する目標を立てています。同社は「いきなり!ステーキ」の他、ダイニングイノベーションとのFC契約によって「焼肉ライク」を展開しているため、新業態店は他ブランドのFC展開になると見られます。
また、外販や通販などの非外食事業の売上高比率を20%まで伸ばす計画を立ており、2026年3月期に売上高500億円を目標としています。
コロナ禍の行方はまだ予断を許しませんが、ワクチン接種が進めば外食産業にも灯りが見えてきそうです。ただ、ラーメン事業が以前の水準に戻ったとしても、売上高500億円を突破できるかは新業態店の成功次第でしょう。「いきなり!ステーキ」自体が低迷する中、新業態店の展開にどんな戦略を取っていくか注目していきたいと思います。
参考資料
- 2022年3月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(株式会社王将フードサービス)
- 2022年2月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)(株式会社ハイデイ日高)
以下、すべて株式会社幸楽苑ホールディングス発表
