自分で申し込み手続きをしていないことが多い延滞者

ここからは、延滞者と無延滞者の違いについて見ていきます。まず、奨学金を申請する際に、誰が実際に申込手続き(書類作成や入力作業等)をしたのかと聞いたところ、「奨学生本人」が無延滞者で60.0%あるのに対し、延滞者では39.9%と約20ポイント低くなっています(図表1参照)。

また、「奨学生本人」と「本人と親等」と合わせた比率でも、無延滞者の86.6%に対して延滞者は63.7%。延滞者の場合は、申込手続きをする時点で奨学生本人が関わっていないケースが目立ちます。

逆に言えば、延滞者の3割程度は申込手続きを親(または祖父母等の家族、親戚)に任せていることになります。そのため、貸与型の奨学金制度についてよく理解せずに利用していたということも考えられるでしょう。

図表1:奨学金申請時の申込手続きを行った者

出所:「令和元年度 奨学金の返還者に関する属性調査結果」(日本学生支援機構)をもとに編集部作成

延滞者の2人に1人が返還義務を知らずに申込手続き

また、奨学生本人が奨学金に「返還義務があることを知った時期」を聞いたところ、「申込手続きを行う前」が無延滞者では89.4%であるのに対し、延滞者では50.3%でした。つまり、半数は返還しなければいけないお金だという認識がないまま申込手続きを行ったことになります。

貸与終了以降に返還義務を知った延滞者は合計16.3%で、そのうちの約半数の8.2%は「延滞督促後に知った」と回答していることからも、返還義務の認識が不十分だったことがうかがえます。