もしものときの「返還期限猶予制度」と「減額返還制度」

失業やケガ、病気、災害などの理由で返還ができなくなった場合には、返還期限の猶予または返還月額の減額といった救済制度もあります。

ところが、これら救済制度の認知度はというと、無延滞者の場合、奨学金の申請や採用時の資料、返還のてびき等の説明で「返還が始まる前に制度を知っていた」と回答した割合が高い一方、延滞者の場合は「延滞督促を受けて初めて制度を知った」という回答が多くなっています。

返還期限猶予制度:返還が始まる前の認知度
延滞者6.6%、無延滞者39.8%

減額返還制度:返還が始まる前の認知度
延滞者4.6%、無延滞者31.9%

おわりに

奨学金は、経済的な理由で進学や学びを諦めることがないように学費を支援する制度ですが、貸与型奨学金の場合は卒業後には返さなければならない、いわば借金です。そして、奨学金を利用して進学したとしても、順風満帆の将来が約束されているわけではありません。

奨学金の返還という負債を背負っても進学したいという確固とした意志がなければ、奨学金はかえって将来の足かせになってしまうこともありえます。保護者としても、奨学金の利用については子供とよく話し合うことが必要かもしれません。

参考資料

中野 令子