延滞者は非正規雇用・無職の割合が高い

奨学生本人の職業に関する質問では、以下のように延滞者は無延滞者に比べて非正規雇用や無職・休職中の割合が多く、このことも奨学金の返還に影響していると見られます(以下では、自営業/専業主夫・婦/その他は割愛)。

  • 延滞者:「正社(職)員・従業員」40.7%、「非正規社(職)員・従業員」30.9%、「無職・失業中/休職中」14.6%
  • 無延滞者:「正社(職)員・従業員」74.3%、「非正規社(職)員・従業員」13.9%、「無職・失業中/休職中」4.0%

延滞者の約半数は年収200万円以下

奨学生本人の年収については、「200万円以下」の比率が延滞者では約半数(47.1%)であるのに対し、無延滞者では20.0%と大きな開きがあります。

逆に「500万円超」は延滞者で6.2%、無延滞者は21.2%という結果で、前出の雇用形態がそのまま年収にも反映されていると見られます(図表2参照)。

図表2:延滞者と無延滞者の年収

出所:「令和元年度 奨学金の返還者に関する属性調査結果」(日本学生支援機構)をもとに編集部作成

また、調査時点で延滞している人に理由を聞いたところ、やはり最も多かったのは「本人の低所得」の62.7%で、次いで「奨学金の延滞額の増加」の42.6%になっています。

通常のローン同様、奨学金も返還期日を過ぎると延滞金が発生するため、ますます返還が困難になる悪循環に陥っていると言えるでしょう。