第二の理由は、住宅ローンが意思が弱い人にとって「強制貯蓄」の役割を果たしてくれるからです。「定年時に家を買うから、それまでに貯金しよう」などと考えても、意思の弱い人には難しいでしょうが、銀行が住宅ローンの取り立てに来てくれれば、嫌でもぜいたくをせずに返済することになるでしょうから。

住宅を買うならば、住宅ローンは固定金利で借りましょう。変動金利で借りると、将来インフレが来た時に金融が引き締められて金利が高騰するリスクがあるので、それを避けるということです。固定金利の方が若干金利が高いのですが、その差額は将来の金利上昇リスクに対する保険料だと考えれば、安いものです。

年金保険料を払うのはムダではない

サラリーマンは公的年金の保険料が給料天引きなので、払い漏れはないでしょうが、自営業者は自分で年金保険料を払わなければならないので、忘れずにしっかり払いましょう。忘れると老後に受け取れる年金が減ってしまいます。

公的年金は、どんなに長生きしても受け取れますし、インフレになっても原則としてインフレ分だけ支給額が増えていきます。したがって、老後資金の2大リスクである長生きとインフレにしっかり備えることができる最強の老後資金対策なのです。

「将来は年金が受け取れないのだから、年金保険料を払うのはムダだ」などと言う人もいますが、そんなことはありません。拙稿『年金は将来もらえないから保険料を払うのはムダなのか』をあわせてご参照いただければ幸いです。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義