少子高齢化で年金支給額は減るだろうが、年金が受け取れないということはあり得ない、と筆者(塚崎公義)は考えています。
少子高齢化で年金が減るのは仕方ない
日本の公的年金の制度は、現役世代が支払った年金保険料で高齢者に年金を支払うという「賦課方式」なので、少子高齢化になると高齢者が受け取る年金は減らざるを得ません。
少ない人数の現役世代が払った年金保険料を多くの高齢者で分け合うわけですから、これは政府の失政でも何でもなく、少子高齢化による当然の結果なのです。このあたりの事情については前回の拙稿『年金受給開始が70歳になっても大丈夫か? 少子高齢化の二面性』を併せてご参照いただければ幸いです。
しかし、だからと言って「若者は将来年金が受け取れないのだから、自営業者や学生等が年金保険料を支払うのはムダだ」という人の言うことを信じるのは危険すぎます。年金保険料を支払っておかないと、老後に年金が受け取れないからです。
年金が受け取れないことはない
そもそも現役世代の人数がゼロになるわけではないので、年金が全く受け取れないということはあり得ません。加えて、公的年金の1階部分である国民年金(基礎年金)については、高齢者に支払われる年金額の半分が税金で賄われていますから、この部分は少子高齢化によっても消えてなくなるわけではありません。
サラリーマンの厚生年金については、サラリーマンが払った年金保険料と同額を会社も払っているので、少子高齢化が進まなければサラリーマンは払った年金保険料の2倍の年金が老後に受け取れるはずなのです。そうであれば、多少現役と高齢者の比率が変わったとしても、年金が受け取れないなどということにはならないでしょう。