医療技術の進歩などにともない、平均寿命が伸びています。これから老後を迎える私たちは、長い老後へ向けて「十分な備え」が必要といえるでしょう。

私は、これまでファイナンシャル・アドバイザーとして、多くのお客様のファイナンシャル・プランニングを担当させて頂きました。

そのなかでは「老後の準備が必要なことは分かっているが、何から手をつけたらいいか分からない」と、不安を口にされる方が少なくありませんでした。

そこで今回は、今のシニア世代の貯蓄事情について見ていきながら、「ゆとりある老後」を過ごすために今からできることをお伝えしていきます。

65歳以上・無職世帯の貯蓄事情

さいしょに、リタイヤ生活を送る高齢者世帯の貯蓄事情を見ていきましょう。

総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、65歳以上・二人以上世帯の貯蓄額とその内訳は下記のとおりです。

「65歳以上・無職世帯」の貯蓄現在高(二人以上の世帯)

貯蓄現在高:2292万円

【内訳】

金融機関

  • 通貨性預貯金:618万円(27.0%)
  • 定期性預貯金:920万円(40.1%)
  • 生命保険など:397万円(17.3%)
  • 有価証券:348万円(15.2%)

金融機関外:9万円(0.4%)

貯蓄額は2000万円以上となっており、これだけの貯蓄があれば安心して年金生活を乗り切れそうにも見えますね。

では、実際はどうでしょう。次項で検証していきたいと思います。