③ 「iDeCo」

iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)は、自分で決めた額を積み立てて運用し、60歳以降に受け取る年金です。掛金が全額所得控除され、通常約20%かかる運用益が非課税になります。さらに、受給年齢に到達した時に受け取る際にも、所得控除が受けられます。

※なお、国民年金基金とiDeCoの併用は可能ですが、両方合わせて年間の掛金の上限は81万6000円となっています。(掛金が全額控除となるため。)

④ 年金の「繰下げ受給」

最後にお伝えするのは、年金の「繰下げ受給」です。

冒頭でも触れたとおり、老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給開始は原則65歳からです。そして、65歳より前倒しで受給を始めることを「繰上げ受給」、逆に65歳よりあとに受給スタートを遅らせることを「繰下げ受給」といいます。

このうちの「繰下げ受給」は、年金の受け取り時期を遅らせるもので、66歳から70歳までの間で申し出があった時から受給できる方法です(※)。

繰下げ年齢の上限70歳で年金を受け取り始める場合の増額率は42%。
その増額率は、以下の計算式で求めることができます。

増額率=(65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数)×0.007

 

仮に、国民年金受給額の全体の平均額5万5946円で計算した場合、受給額は最大で毎月約2万3000円、年間で約28万円増える計算になります。

繰下げ請求した場合はその間年金を受給できない点と、いったん繰下げ請求した場合は取り消しや変更ができない点には注意が必要です。

ご自身の貯蓄状況や健康状態なども考慮しながら、慎重に判断する必要があるでしょう。とはいえ、元気で長生きできることを想定した場合、検討されてもよい方法の一つでしょう。

※ 2022年4月からは、繰下げ年齢の上限が75歳まで引き上げられ、最大で84%まで受給額を増やすことができるようになります。