何歳からを「老後」と捉えるかは人それぞれです。

キャリアを軸として考えると、会社員や公務員のみなさんであれば「定年退職」のタイミングかもしれません。また、自営業の方であれば「生涯現役」の心意気をお持ちの方も多いでしょう。

お子さんの独立や初孫誕生といった家族のイベントをきっかけに、老後生活のスタートを実感される方もいらっしゃるはずです。

しかし、働き方が多様化しシニア世代の就業を後押しする制度が整いつつあるとはいえ、一般的な年金受給開始年齢である「65歳」を何かしらの区切りと考えることはできそうです。

そこで今日は、65歳以上世帯の貯蓄事情について、無職世帯と働く世帯の比較を軸にお話ししていきます。参考とするのは、総務省統計局が公表した、最新版の「家計調査報告」です。

65歳以上「無職世帯・働く世帯」の比率

まず、総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2020年(令和2年)平均結果―(二人以上の世帯)」(2021年5月18日公表)から、「勤労者世帯」「無職世帯」の世帯数分布(1万分比)を確認します(※)。

(※)ここでは、高齢者(60歳以上の者)がいる世帯を1万としています。

世帯主が65歳以上:7446世帯

  • 無職世帯:5473世帯
  • 無職世帯を除く勤労者以外の世帯:947世帯
  • 勤労者世帯:1026世帯

無職世帯の割合は、60歳以上で62.9%、65歳以上で73.5%、70歳以上で約80.5%、75歳以上になると88.1%にまで上がります。

定年引き上げや、退職後の再雇用を視野に入れる企業が増えていますが、少なくとも現時点では60歳から65歳をリタイヤの時期とする方が多いといえそうです。

次では、65歳以上世帯の貯蓄の内訳を、「無職世帯」とそれ以外の働く世帯に分けて見ていきます。