老後の暮らしを支える年金。

現役時代の稼ぎには及ばないものの、「ある程度は」もらえるだろうと考えていらっしゃる方は多いと思います。

私はお客様と年金についてお話をする機会があるのですが、年金生活スタートを目前にして「受給額が予想外に少なくなりそう・・・」とご心配される方が結構いらっしゃいます。

「定年後はできればゆっくり過ごしたいと思うけれど、年金が少ないので体力と相談しながら働き続ける予定」

そんなお話を伺うと、老後の蓄えは本当に大切だなと実感します。

「もっと若いときから考えておけばよかった」「私たちの若い頃は年金だけで生活できると思っていた」

これらは、私がフィナンシャル・プランナーとしてお話ししてきた1000世帯超のみなさんの多くに共通する印象的な言葉です。

今回はシニア世代の年金受給額と傾向から、変わりゆく時代を踏まえて、老後資金の対策をどう立てるかについて考えてみたいと思います。

「所得代替率」でみる年金受給額の価値

所得代替率とは、「年金受給開始時点(65歳)の年金額が、現役世代の手取り収入(ボーナス込)と比べてどのくらいの割合になるか」を示したもので、主に厚生年金に対して使われます。

たとえば、「所得代替率50%」の場合、現役中の手取り収入の50%を年金として受け取れるということになります。

「年金の受給額がいくらか」というのも気になる点ではありますが、その年金額でいったい現役時代の何割の収入をカバーできるのか、というのも重要なポイントです。

所得代替率については、厚生労働省「平成16年年金改正制度に基づく財政見通し等 世帯類型別の年金額および所得代替率」内の「2025年における世帯一人当たり所得別の年金月額及び所得代替率」から引用しました。

世帯類型(1人当たりの月手取):将来の世帯1人当たり年金額→所得代替率として記載しています。

<2025年における現役時代の世帯一人当たり所得別、所得代替率>

  • 夫のみ就労世帯(月手取23.6万円):年金月額11.9万円→所得代替率50.2%
  • 離職の場合(月手取26.1万円):年金月額12.4万円→所得代替率47.5%
  • 女子単身の場合(月手取29.4万円):年金月額13.1万円→所得代替率44.7%
  • 一時離職の場合(月手取33.2万円):年金月額13.9万円→所得代替率42.0%
  • 40年間共働きの場合(月手取38.3万円):年金月額15.1万円→所得代替率39.3%
  • 男子単身の場合(月手取47.2万円:年金月額17.0万円→所得代替率36.0%