「老後2000万円」の盲点
この「2000万円問題」には、いくつかの落とし穴があります。ここから具体的にご紹介していきましょう。
住居費
毎月の実支出の内訳では、住宅費用が約1万4000円と、非常に低い金額となっています。実はこの金額は、持ち家世帯を前提として出されたものなのです。
老後も賃貸住宅に住み続ける場合は、「2000万円」にプラスして、家賃分との差額を用意しておく必要があります。
介護にかかる費用
また、この試算の中には、「介護費用」が含まれていません。
公的介護保険でカバーできない部分については、貯蓄からまかなう必要があります。とりわけ老人ホームなどの高齢者施設に入居する場合は、かなり大きな費用がかかります。
要介護状態になる可能性は、私たちのだれもが持っています。そのときのためにご自身で備えておきたい、と考えた場合も「2000万円」とは別に、介護費用として資金を準備しておく必要があるわけです。
ゆとりある生活、ライフスタイルの充実のためのお金
以上2点のほかに、以外な盲点となるのが「ライフスタイル」を充実させるための費用です。
趣味やライフワーク、友人との付き合いといった、「お楽しみ」に使うお金も準備しておきたいところでしょう。これらは老後の暮らしに張り合いを持たせるたいせつな出費であると考えます。
ちなみに公益財団法人生命保険文化センターの意識調査によると、ゆとりある老後生活をおくるためにひと月の生活費は、毎月約36万1000円になる、という結果も出ています。
これを先ほどの計算式に当てはめると、トータルで約5400万円になりますね。到底2000万円の退職金ではカバーできないといえるでしょう。