「退職金」という響きに、みなさんはどのようなイメージをお持ちですか?
ほとんどの人にとって、人生で5本の指に入るほどの大型収入といえるのではないかと思います。とりわけ、定年退職時に受け取る退職金は、その後の年金生活を支える柱の一つとなり得るものですね。
筆者は証券会社でファイナンシャル・アドバイザーとしてお客様の資産運用のご相談などに携わってきました。
今回はその経験を踏まえ、会社員の退職金事情と勤務年数の関係、そして、ゆとりあるセカンドライフに向けた「お金の準備」について、お話ししていきます。
学歴で変わる退職金
ひとことで「退職金」といっても、例えば同じ勤務先の同僚どうしが、一律の金額を受け取れるわけではありません。役職や勤続年数でも変わりますが、実は入社時点の最終学歴も少なからず関係します。
さいしょに、学歴と退職金額の関係を、日本経済団体連合会が公表する「退職金・年金に関する実態調査結果」から見ていきます。
標準者退職金
(学校卒業後直ちに入社し、その後標準的に昇進・昇格した者を対象に算出)
- 大学卒(総合職):2255万8000円
- 高校卒(総合職):2037万7000円
- 高校卒(生産・現業):1817万2000円
総合職であれば、大学卒、高校卒ともに2000万円の大台に乗るようです。高校卒の生産・現業の場合は、2000万円にあと少しで手が届く、といったところでしょうか。
次では、退職金と「勤続年数」の関係を見ていきます。
最終学歴と勤続年数
先ほどの「標準者退職金」からは、学歴が退職金額を左右するひとつの要素であることは推測できます。
では、ここに勤続年数を絡めるとどのように金額が動くか見ていきましょう。
勤続年数別退職金〈大学卒(総合職)〉
1年:24万9000円・3年:65万8000円・5年:126万7000円
10年:307万9000円・15年:488万円
20年:809万4000円・25年:1181万7000円
30年:1629万8000円・33年:1959万9000円
35年:2038万1000円・38年:2255万8000円
勤続年数別退職金〈高校卒(総合職)〉
1年:19万1000円・3年:44万5000円・5年:78万6000円
10年:191万7000円・15年:358万2000円
20年:578万7000円・25年:895万1000円
30年:1222万円・33年:1561万9000円
35年:1781万8000円・38年:1850万9000円
42年:2037万7000円
勤続年数別退職金〈高校卒(生産・現業)〉
1年:18万5000円・3年:50万円・5年:88万6000円
10年:212万円・15年:390万2000円
20年:623万8000円・25年:896万3000円
30年:1208万6000円・33年:1518万2000円
35年:1613万9000円・38年:1645万4000円
42年:1817万2000円
グラフからも「勤続年数」は学歴以上に退職金額に影響を与えていることが分かります。大学卒・総合職であれば、50代後半まで勤め続けることで、2000万円の退職金が期待できそうです。