定年60代「貯金2000万円」で老後不安はないか

実は「老後2000万円問題」には、注意点がいくつかあります。

1つ目は住居費用です。

総務省統計局「平成 30 年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計結果の概要」では、65歳以上の「高齢者のいる夫婦のみの世帯」の持ち家の比率が87.2%となっており、賃貸の割合はわずか12.8%という結果でした。

この高い持ち家率から、「住居費=1万3656円」という金額が設定されているのです。よって、老後も賃貸住宅に住まう予定の世帯の場合、家賃との差額分を「2000万円」とは別に用意しておく必要があります。

2つ目は介護費用です。

介護状態になるリスクは誰しもが持ち合わせています。そのため、万が一の事として備えが必要になります。

公的介護保険でカバーできない部分は、ご自身で負担をすることになるわけですね。

その一例として、LIFULL介護ホームページ「老人ホームの相場」のデータを参考に介護費用を計算してみると、平均入居期間の5年間でサービス付高齢者向け住宅だと約1000万円、有料老人ホームで約1900万円の費用がかかる計算になります。

さらには、冒頭でも触れた、趣味や旅行などを満喫するための「ゆとりのお金」も、やはり準備しておきたいところでしょう。

これらをふまえると、やはり2000万円の貯金を取り崩して老後生活を悠々自適に…という夢をかなえることは、かなり難しいのではないか?と感じる人が大半ではないでしょうか。