平均寿命が延びている傾向にある日本では、定年退職後の生活も長くなっています。

そのような中で、かつてのように定年退職を機に完全リタイアして年金と貯蓄だけで暮らすスタイルは当たり前ではなくなっています。

経済的な事情から、定年退職後も再雇用や再就職をして働く高齢者が増えているのが現実です。

では、どのくらいの高齢者が働いているのでしょうか。

本記事では、60歳代・70歳代のリアルな就労事情を紹介します。

年金受給額や老後の生活費も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 60歳代・70歳代で働く人はどのくらいいる?

60歳代・70歳代で働く人はどのくらいいるのでしょうか。

2025年9月に公表された総務省「統計からみた我が国の高齢者」によると、日本の2024年における年齢階級別就業率は以下のとおりです。

65歳以上の年齢階級別就業率の推移1/3

65歳以上の年齢階級別就業率の推移

出所:総務省「統計からみた我が国の高齢者

1.1 年齢階級別の就業率

年齢階級:就業率

  • 65~69歳:53.6%
  • 70~74歳:35.1%
  • 75歳以上:12.0%

なんと65~69歳の半分以上の人が働いています。

ちなみに2014年における65~69歳の就業率は40.1%のため、直近10年で10%以上も就業率は増加しています。

また、70~74歳の就業率も35.1%とかなり高いです。

やはり、定年退職後も再雇用や再就職で働く人が増えていることがわかります。

もちろん社会的な意義を感じたり健康でいるために働く人も一定数いると考えられますが、経済的な理由から働いている人が大部分でしょう。

2. 【厚生年金と国民年金】老後、年金はどのくらいもらえる?額面を解説

働く高齢者が多いことを確認しましたが、年金だけで生活することはできないのでしょうか。

現在のシニア世帯の受給額を確認してみましょう。

厚生労働省年金局「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者の年金受給額の分布は以下のとおりです。

厚生年金受給者の年金受給額の分布2/3

厚生年金受給者の年金受給額の分布

出所:厚生労働省年金局「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

2.1 厚生年金受給者の年金受給額(額面)

年金受給額:割合

  • 月額1万円未満0.27%
  • 月額1万円以上2万円未満0.09%
  • 月額2万円以上3万円未満0.22%
  • 月額3万円以上4万円未満0.42%
  • 月額4万円以上5万円未満0.48%
  • 月額5万円以上6万円未満0.67%
  • 月額6万円以上7万円未満1.96%
  • 月額7万円以上8万円未満3.60%
  • 月額8万円以上9万円未満4.99%
  • 月額9万円以上10万円未満6.29%
  • 月額10万円以上11万円未満6.92%
  • 月額11万円以上12万円未満6.66%
  • 月額12万円以上13万円未満6.09%
  • 月額13万円以上14万円未満5.74%
  • 月額14万円以上15万円未満5.78%
  • 月額15万円以上16万円未満6.00%
  • 月額16万円以上17万円未満6.22%
  • 月額17万円以上18万円未満6.42%
  • 月額18万円以上19万円未満6.38%
  • 月額19万円以上20万円未満5.98%
  • 月額20万円以上21万円未満5.31%
  • 月額21万円以上22万円未満4.38%
  • 月額22万円以上23万円未満3.26%
  • 月額23万円以上24万円未満2.18%
  • 月額24万円以上25万円未満1.43%
  • 月額25万円以上26万円未満0.94%
  • 月額26万円以上27万円未満0.59%
  • 月額27万円以上28万円未満0.34%
  • 月額28万円以上29万円未満0.19%
  • 月額29万円以上30万円未満0.09%
  • 月額30万円以上0.12%
  •  

平均年金月額15万289円

*厚生年金保険受給権者には、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより、定額部分のない報酬比例部分のみの 65 歳未満の受給権者が含まれています。

会社員や公務員経験がある厚生年金受給者の平均受給額は、月15万289円です。

ただし、受給額が月額20万円以上の人もいれば月額10万円未満の人もいて、受給額は人によってかなり異なります。

これは、厚生年金が現役時代の平均年収と勤務期間によって決まるためです。

平均年収が高く勤務期間が長いほど、受給額は増える仕組みとなっています。

一方、会社員や公務員経験がない自営業者や専業主婦は厚生年金を受け取れず、もらえる年金は国民年金のみです。

国民年金の平均受給額は、月5万9310円となっています。

そのため、例えば平均的な会社員の夫(厚生年金+国民年金の平均月額15万289円)と専業主婦の妻(国民年金の平均月額5万9310円)の世帯がもらえる年金月額の額面は20万9599円程度が目安となります。

3. 老後の生活費はいくらかかる?65歳以上の夫婦のみ無職世帯の1カ月の家計収支

老後は、どのくらいお金がかかるのでしょうか。

総務省統計局「家計調査報告書(家計収支編)」によると、2025年における65歳以上の夫婦のみ無職世帯の1カ月の平均支出とその内訳は以下のとおりです。

3.1 65歳以上の夫婦のみ無職世帯の支出(月額)

  • 食料 7万8964円
  • 住居 1万7739円
  • 光熱・水道 2万3540円
  • 家具・家事用品1万1237円
  • 被服及び履物 5354円
  • 保健医療 1万7941円
  • 交通・通信 3万1325円
  • 教育 0円
  • 教養娯楽 2万6538円
  • その他の消費支出 5万1341円

 ・諸雑費 2万2047円
 ・交際費 2万3257円
 ・仕送り金 1135円

  • 直接税 1万2547円
  • 社会保険料 2万296円

合計 29万6829円

社会保険料・税金を含めた合計の平均支出は29万6829円です。

内訳としては食費が月7万8964円ともっとも高く、交通・通信費、教養娯楽費と続きます。

65歳以上の夫婦のみ無職世帯の場合、1カ月あたり平均で4万2434円の赤字となっていることがわかりました。

もちろん持ち家か賃貸か、車を保有しているかなどによっても支出は異なりますが、一つの目安にしてみてください。

4. 現役時代の計画性が老後生活を左右する!

定年退職後に働く必要があるかどうかは、現役時代の計画性に大きく左右されます。

現役時代から貯蓄や資産形成で老後資金を貯めていれば、老後は働かずにゆとりのある生活を送れるでしょう。

また、現役時代の平均年収が高い人も年金受給額が高額なため、老後に働かなくてもよいかもしれません。

少しでも裕福な老後を過ごしたい人は、ぜひ今のうちから年収アップを目指したり、日々の節約と資産形成を始めたりしてみてはいかがでしょうか。

参考資料

苛原 寛