賃貸派は要注意。「住居費」のこと。

次は「住居費」についてです。この試算では、ひと月の住居費が「1万3656円」という低い金額で計算されています。シニア世帯の持家率が高いことから、この金額になっているのです。老後も賃貸物件に住む場合は、家賃との差額分を、「2000万円」とは別にご自身で用意する必要があります。

また、老朽化した自宅の改修工事などの大型出費が発生することも考慮しておく必要がありそうですね。

さらには、趣味やライフワーク、友人との交際費や、お孫さんへのおこづかいなど、暮らしを豊かにするためのお金も、老後の「必要経費」といってよいでしょう。やはりある程度は確保しておきたいですよね。

貯蓄、年金収入は世帯によって差があります。また、理想の老後やライフスタイルも人それぞれでしょう。

とはいえ、ここまで見てきた数字からは、公的年金と退職金だけですべての出費をカバーすることは難しいケースがほとんどであるといえそうです。そして、これは、民間企業の会社員、公務員、どちらのみなさんにも共通すること、とも考えられそうです。

老後資金は「自分で作る」意識を

一般企業の会社員など比較した場合、何かと「安定している」「優遇されている」というイメージを持たれることが多い、公務員の待遇面。今回はそのうちの「退職金」にフォーカスしていきました。

ただし、公務員の退職金は民間企業と退職金との均衡を保つため、5年に1度見直しが行われています。そして、民間企業の退職金の平均額は、近年右肩下がりの傾向が続いています。

つまり、「いま現在」比較的恵まれていると思われる公務員の退職金事情が、この先もずっと続くとは言い切れない、ということです。

「老後資金は自分で準備していく」

この発想こそ、これから老後を迎える、すべての現役世代に共通して求められていることなのかもしれません。

将来を見据えた貯蓄の習慣は、できるだけ若いころから身に付けておきたいものですね。

「家計管理や貯蓄ペースに不安がある・・・」「資産運用でお金を育てていきたい」

そんな心配ごとや疑問の解決は、「お金のプロ」に頼ってみると心強いかもしれません。

参考資料

鶴田 綾