預金はリスク資産だと心得る

退職金を受け取った元サラリーマンの金融資産は、大半が銀行預金になっているかもしれません。預金は株や外貨と違って値下がり損を被る心配がないので、安全だと思っている人も多いでしょうが、実は預金もインフレで目減りするリスク資産なのです。これは意外と見落としがちかなことかもしれません。

インフレの記憶が薄れてしまった人も多いと思いますが、過去には確かにインフレがありましたし、今後もあるかもしれません。筆者が心配しているのは少子高齢化によるインフレと大災害によるインフレです。

少子高齢化で労働力不足が深刻化すれば、賃金が上がってインフレになりかねません。現役世代は賃金が上がるので良いかもしれませんが、高齢者は銀行預金がインフレで目減りして老後の生活が脅かされる可能性があるわけです。

南海トラフ大地震で多くの建物が倒壊すれば、復興資材も食料も決定的に不足して超インフレになるかもしれません。復興資材の輸入等々でドルが高騰し、輸入物価も高騰するでしょう。

そうしたインフレのリスクに備えるためには、少しずつ株と外貨(具体的には日本株投信と米国株投信)を買っておくと分散投資になり、ひどい目に遭う可能性が減るでしょう。

そうは言っても、退職金で一度に巨額の投信を買うのは危険です。数年間かけて少しずつ買っていく、その後は数年間かけて少しずつ売っていく、ということが時間分散として重要と言えるでしょう。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義