同社の場合、2021年3月期末時点で自己資本比率は54%と、外食企業としては手厚い自己資本比率で財務内容に余裕がある状態です。しかし財務的な余裕のない中小の外食店では、休業補償の入金が遅いことで資金繰りが厳しくなるところが多いと推測されます。

30億円の減損計上により経営的には身軽な状態に

同社の2021年3月期決算を簡潔にまとめると、以下のようになります。

  • 「松屋」などの店舗全体の損益(=営業利益)は赤字
  • 休業補償により全体的(=経常利益)には収支均衡
  • 不採算店の資産などの損失処理(=減損)により最終的な決算(=当期純利益)は大幅な赤字

休業補償で収支均衡は維持しており、また不採算店の資産などの減損により経営的には身軽となったため、コロナ禍後に反転攻勢が可能な状態と言えます。

ワクチン接種が広く行き渡り、コロナ禍が一応の収束を見た後、再び売上高1000億円を回復して成長の道筋に戻ることができるのか、今後の業績の行方が注目されます。

参考資料

以下、松屋FHDの発表による。

石井 僚一