梅の実が大きくなり、6月には出荷の最盛期を迎えます。昔は梅干しや梅酒を家で作ることが多かったですが、最近は、出来合いのものが簡単に手に入る便利な時代になりました。それでも比較的手軽に手作りできる梅酒は、毎年自家製を仕込む方も少なくないでしょう。

では、梅酒を作るとき、普通の砂糖ではなく氷砂糖が使われるのはなぜでしょうか? ここでは、その理屈をやさしく紐ときます。また、身の回りで同じような理屈が関係することがありますので、それらについても触れましょう。さらに、梅そのものについても解説します。

漬物に塩、梅酒には氷砂糖を使う理由

人が打ちひしがれて、うなだれている状態を「青菜に塩」といいます。青菜は葉や茎に充分水分が行きわたっている時にはピンとしていますが、塩を振りかけると水分を失って萎れてしまいます。

これは浸透圧の原理で、葉や茎から水分が外に吐き出されてしまうからです。お漬物を作る際に塩を使うのもこのためです。そして梅酒を作るときに氷砂糖を使うのも、この浸透圧が関係しています。

ついでに、身の回りで浸透圧に関係することを紹介しましょう。しめ鯖などを作る際の塩は魚肉から水を除くためで、そうでないと水っぽいしめ鯖になってしまいます。また、意外なところでは、紙おむつなどに利用されている吸水性ポリマーが水を吸うのも浸透圧が関係しています。

浸透圧の原理、小学校の実験を覚えていますか?

小学校の実験で、セロハンで仕切られた容器に真水(低濃度溶液)と塩水(高濃度溶液)を入れ、真水が塩水側に移動して行く様子を観察したことがあるでしょう。

この時、塩水側の水量が増えますが、この高さの差が浸透圧です。このように低濃度側から高濃度側に水が移動し、セロハンの両側の溶質(塩)の濃度を同じようにしようとする力を浸透圧といいます。