しかし、高濃度側に浸透圧を上回る圧力を加えると、水は濃度に逆らって低濃度側に移動します。この原理を利用して、高濃度側に海水や汚染水を入れて圧力をかけると、低濃度側にきれいな水を得ることができます。

これを逆浸透法といい、海水の淡水化や海水の濃縮の手段(塩の製造、昔のような天日干しではない方法)として利用されています。

梅酒をおいしくする氷砂糖の役割

梅酒の作り方は、熟す前の硬い青梅1kg、氷砂糖700g~1kg、ホワイトリカー(35度)や焼酎(米焼酎、麦焼酎、黒糖焼酎、25度以上)1.8リットルが基本です。使うアルコール類によって香りと味が異なります。

梅酒は3か月以上寝かせ、梅を取り出せば出来上がり、後は何年でも保存がききます。取り出した梅は甘露煮や梅ジャムにすると、おいしく再利用できます。

ここで、普通の砂糖と氷砂糖の違いを考えてみましょう。普通の砂糖だと溶けるのが早く、梅の周りの糖密度が急に上がるので、浸透圧により梅の水分が吐き出され梅が萎んで硬くなりうまみも出ません。

しかし、氷砂糖を使った場合、初めは梅の周りはほとんどホワイトリカーあるいは焼酎などの酒類ですから、梅内部の方が溶けている物質の濃度が高く、浸透圧によって(アルコールを含んだ)水分がまず梅の方に入ります。

その後、氷砂糖が溶けるにしたがって梅の周りの濃度が高くなり、今度は水分が梅のうまみと共に出てきます。すなわち水分が梅の中と外を往復することになり、おいしい梅酒になるわけです。昔から、梅酒づくりには氷砂糖が使われてきましたが、先人の知恵には驚くばかりです。