学力や学歴は教育費のかけ方によって左右されるという風潮が強まっている中、コロナ禍で学力格差がいっそう拡大しかねない状況です。実際、昨年の臨時休校の際、多くの公立学校はプリント配布といったアナログな対応で、児童生徒の学習時間確保は家庭任せという状態にならざるを得ませんでした。

一方、私立校ではパソコン・タブレット端末を活用し、休校中でも児童や生徒の様子および課題の進捗具合を確認する学校も多くありました。こうして両者の対応の違いが鮮明になったのは記憶に新しいところです。

参議院常任委員会調査室・特別調査室が作成した「学びの保障と教育格差 ― 新型コロナウイルス感染症をめぐる取組 ―」の資料でも、コロナ禍によって家庭の経済力を起因とする学力格差の広がりが懸念されると指摘されています。

「学力・学歴」はお金次第という考え方

また、民間企業の調査からも経済力の有無で学力が決まるという考えが多数派であるという結果が出ています。

ソニー生命が今年3月に発表した「子どもの教育資金に関する調査2021」(対象:大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女1,000人)によると、63%の保護者が「子どもの学力や学歴は教育費にいくらかけるかによって決まると感じる」と答えています。

この結果は2018年から昨年までの同調査でも65%前後で推移しており、子を持つ親の約3分の2が「学力、学歴は教育費次第」と考え、その傾向が定着していることを裏付ける結果となりました。

「学歴=経済力」という図式は、メディアでもしばしば取り上げられることがあります。そういった問題で必ず使われるのが東大生の親の年収です。