警察官の退職金「民間企業と比べると…」

では、さきほど見てきた警察官の退職金と、民間企業の退職金事情を比較してみましょう。厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 結果の概況 退職給付(一時金・年金)の支給実態」を参考にします。

同資料によると、民間企業の平成29年1年間における勤続20年以上かつ45歳以上の退職者に支給された1人平均退職給付額(退職事由が定年退職)は、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で1983万円です。

民間企業の会社員と警察官を単純比較することはできません。とはいえ、危険と隣り合わせで市民の暮らしを守ってくれる警察官のみなさんが受け取る額としては、やや少なめかな?と感じた方もいらっしゃるかもしれませんね。

公務員の退職金は減少傾向

2000万円以上の退職金は、決して小さな金額ではありません。これは、官民問わずいえることでしょう。

しかし、昨今では会社員との格差是正をし「官民均衡」を図るために、公務員の退職金は5年毎に見直しされています。

実際に、1998年には地方公務員の退職金は約2800万円支給されていましたが、2018年には約2100万円にまで減少しています。(※一般職員・勤続25年以上・60歳で退職の場合)

2021年5月現在、国家公務員の定年は60歳ですが、これを段階的に65歳まで引き上げる国家公務員法改正案が閣議決定され、政府は今会期中の成立を目指しています。同時に、60歳以降も働き続ける場合は給与を60歳以前の7割水準にする措置も考えられています。

退職金を計算するベースとなる給与が減ると、将来受け取る退職金にも影響が出てくる可能性もあるでしょう。

これからの時代は、官民問わず、定年退職金だけに頼れる時代ではないのかもしれません。