皆さんは「警察官」と聞いて、どのようなことを思い浮かべますか?
子どもたちにとっては「みんなの安全を守ってくれるヒーロー」のようなイメージでしょうか。幼い頃に憧れていた方も多いことでしょう。
最近では、警察官が主人公のドラマも数多く放映されていることもあり、「警察官は責任が重く、体力的にも大変な仕事」という認識は世間に広く浸透していると思います。
そんな身近な存在でありながらも、普段あまり語られることのないのが「警察官のお財布事情」。
そこで今回は、私たちの安全な生活を守るために日々奮闘してくれている警察官の退職金事情について詳しく見ていきたいと思います。
警察官の退職金はいくらか
警察官は大きくわけると警察庁に所属する国家公務員と、都道府県警察に所属する地方公務員があります。
今回は、地方公務員である警察官の退職金について見ていきましょう。
総務省の「平成31年地方公務員給与の実態 調査結果の概要」によると、警察官を含む地方公務員の退職事由が「25年以上勤続後の定年退職等」の平均退職手当額は以下のようになります。
職員区分別 1人当たり平均退職手当額(全地方公共団体)※退職手当を支給された者
- 警察官:2214 万9000円
- 一般職員:2120万1000円
- 教育公務員:2262万円
さらに警察官の60歳定年退職者の平均退職手当支給額を、都道府県ごとに見ていきます。
警察職の退職手当の支給状況
60歳定年退職者の平均支給額(都道府県別)
- 北海道:2221万9000円
- 青森県:2115万2000円
- 岩手県:2157万1000円
- 宮城県:2200万5000円
- 秋田県:2163万7000円
- 山形県:2204万6000円
- 福島県:2247万6000円
- 茨城県:2175万8000円
- 栃木県:2153万8000円
- 群馬県:2134万5000円
- 埼玉県:2192万5000円
- 千葉県:2179万9000円
- 東京都:2305万9000円
- 神奈川県: 2290万6000円
- 新潟県:2179万円
- 富山県:2144万1000円
- 石川県:2213万1000円
- 福井県:2184万2000円
- 山梨県:2235万4000円
- 長野県:2254万3000円
- 岐阜県:2234万円
- 静岡県:2269万5000円
- 愛知県:2228万7000円
- 三重県:2217万9000円
- 滋賀県:2155万3000円
- 京都府:2226万5000円
- 大阪府:2231万4000円
- 兵庫県:2212万1000円
- 奈良県:2155万9000円
- 和歌山県:2233万9000円
- 鳥取県 ―
- 島根県:2192万1000円
- 岡山県:2195万5000円
- 広島県:2230万7000円
- 山口県:2135万7000円
- 徳島県:2192万8000円
- 香川県:2224万9000円
- 愛媛県:2237万円
- 高知県:2181万4000円
- 福岡県:2212万1000円
- 佐賀県:2261万4000円
- 長崎県:2161万円
- 熊本県:2224万7000円
- 大分県:2231万7000円
- 宮崎県:2130万8000円
- 鹿児島県:2152万4000円
- 沖縄県:2201万7000円
※「令和2年地方公務員給与実態調査」より。平成31年4月1日から令和2年3月31日までの期間に退職した職員1人当たり平均の支給額。
都道府県別に見ても、平均で2000万円以上となっていることが分かります。
警察官の退職金「民間企業と比べると…」
では、さきほど見てきた警察官の退職金と、民間企業の退職金事情を比較してみましょう。厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 結果の概況 退職給付(一時金・年金)の支給実態」を参考にします。
同資料によると、民間企業の平成29年1年間における勤続20年以上かつ45歳以上の退職者に支給された1人平均退職給付額(退職事由が定年退職)は、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で1983万円です。
民間企業の会社員と警察官を単純比較することはできません。とはいえ、危険と隣り合わせで市民の暮らしを守ってくれる警察官のみなさんが受け取る額としては、やや少なめかな?と感じた方もいらっしゃるかもしれませんね。
公務員の退職金は減少傾向
2000万円以上の退職金は、決して小さな金額ではありません。これは、官民問わずいえることでしょう。
しかし、昨今では会社員との格差是正をし「官民均衡」を図るために、公務員の退職金は5年毎に見直しされています。
実際に、1998年には地方公務員の退職金は約2800万円支給されていましたが、2018年には約2100万円にまで減少しています。(※一般職員・勤続25年以上・60歳で退職の場合)
2021年5月現在、国家公務員の定年は60歳ですが、これを段階的に65歳まで引き上げる国家公務員法改正案が閣議決定され、政府は今会期中の成立を目指しています。同時に、60歳以降も働き続ける場合は給与を60歳以前の7割水準にする措置も考えられています。
退職金を計算するベースとなる給与が減ると、将来受け取る退職金にも影響が出てくる可能性もあるでしょう。
これからの時代は、官民問わず、定年退職金だけに頼れる時代ではないのかもしれません。
自分の「老後」を守るために
現役時代は地域の安全を守ってくれていた警察官。老後に自らの生活を守っていくためには、どのような備えが必要なのでしょうか。
幸いなことに、警察官の給与は安定しています。給与がいきなり減ることは考えにくく、景気に大きく左右されることも少ないといえるでしょう。さらに、給与体系も安定しているので、計画的な資産形成がしやすいともいえます。
今は「つみたてニーサ」や「イデコ」など、お得に長期投資ができる制度が整っており、投資初心者でも資産運用を始めやすい環境です。
しかし、ここで注意して頂きたい点が1つあります。
「つみたてニーサ」や「イデコ」は、主に投資信託などの金融商品の運用益が非課税となる制度です。
資産運用ですので、もちろん元本保証ではありません。
なかには「国が推奨しているから」と、資産運用をあまり理解しないまま始めてしまったために、大きな価格変動を目の当たりにすると「こんなはずじゃなかった」と運用をやめてしまう方がいます。非常にもったいないことです。
資産運用には「上がり下がり」があります。特に、長期投資では価格変動はつきものです。そのあたりをしっかりと理解し納得することが、長期で資産形成をしていくポイントとなってきます。
自分のたいせつなお金を投じて行う資産運用ですから、スタート前にじっくり勉強なさってみても良いかもしれませんね。
もし、不安点や疑問が生じた場合には、IFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)など、お金の専門家に相談してみる事をオススメします。
無料のマネーセミナーなどで相談できる機会も増えています。積極的に活用されてはいかがでしょうか。
老後に備えた「資産形成」は早めのスタートがオススメ!
今回は、「警察官の退職金」について詳しく見てきました。
警察官を含む公務員に対して、「老後もきっと安泰だろう」といったイメージを抱いている方も少なくないでしょう。
しかし、さきほども触れたように、現在は公務員の退職金も減少傾向にあります。「老後の資金作り」に悪戦苦闘しているのは会社員も公務員もおなじなのです。
これからは「公務員だから大丈夫」ではなく、「公務員だから景気に左右されず給与も安定している。だからこそ計画的に資産形成を始めよう」という切り替えが大切なのかもしれません。
早めの老後準備で、悠々自適なリタイアライフを作っていきませんか。
参考資料
- 谷口裕梨「公務員の退職金「警察官はいくらもらっているか」」(LIMO)
- 総務省「給与・定員等の調査結果等」の「平成31年地方公務員給与の実態 調査結果の概要」
- 厚生労働省「平成30年就労条件総合調査 結果の概況 退職給付(一時金・年金)の支給実態」
- 日本経済新聞「国家公務員法改正案 衆院通過、公務員定年 31年度に65歳」2021年4月27日
- 人事院「定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出のポイント」
鶴田 綾
