「国家公務員の退職金」民間企業より手厚いといえるのか

国家公務員の場合、「自己都合」による退職を除けば、35年以上の勤続年数で2000万円以上の退職金が期待できることが分かりました。

本記事では触れていませんが、定年退職者【行政職俸給表(一)適用者】のうち、2000万円以上支給される割合は約85%となっています。

一方、民間企業の退職金額は学歴や勤続年数に左右される部分が大きく、定年退職の場合でも2000万円に届かないケースが見られます。

退職金がもらえないケースも

民間企業の場合、退職金事情にはちょっとした盲点があります。

退職金制度を設けるかどうかは企業の裁量に任されているため、「退職金そのものがない会社」もあります。

また、中途採用で即戦力を求める企業が増える今、勤続年数や学歴に大きく影響される従来の退職金制度は、企業・働き手双方にとってメリットが減っていくことが考えられます。すでに退職金制度を見直し、その代わりに企業型DC(企業型確定拠出年金)を導入する企業も増えています。

さいごに

今回見てきたデータを見る限り、国家公務員の退職金は民間企業の会社員よりも手厚い、といえそうです。

しかし、公務員の退職金は民間企業の退職金相場と大きくかけ離れることがないよう、定期的に見直しが行われます。そのため、民間企業のよりも大幅に「手厚い」額になることは、今後も起こりにくいと考えてよさそうです。

官民ともに、退職金は老後の生活をささえる大切な原資です。

とはいえ、コロナ禍で、多くの民間企業が苦戦を強いられる今、官民ともに「退職金」に過剰な期待を持つことは、積極的にお勧めできないといえるでしょう。

こんな時期こそ、「自助努力による資産形成」を視野に入れる好機かもしれません。「老後は退職金で安泰」と言い切れない時代なのは、官も民も同じです。

「人生100年時代」はすぐそこまできています。

長くなる可能性がある老後のお金。これを「お勤め先任せ」から「自分で準備する」視点にシフトしていく時代が来ているのかもしれません。

老後資金をしっかり作っていくためには「資産運用」でお金を育てる発想もたいせつにしたいものです。ご自身やご家族のマネープランに不安がある方は、いちど「お金のプロフェッショナル」に相談してみる手もあります。

信頼できるアドバイザーと二人三脚で「資産形成」の計画を作ることで、老後のお金の不安を減らすきっかけを作ることができるかもしれません。

参考資料